2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J10745
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 俊朗 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | デルタ関数気体 / 厳密解 / 1次元可積分系 / ベーテ伝説法 / BCS-BECクロスオーバー / 朝永・ラッティンジャー液体 |
Research Abstract |
1995年のボース・アインシュタイン凝縮(BEC)の実現以後、超低温中性原子気体の実験は爆発的な進展を続け、現在では、次元性、相互作用、構成粒子の種類と成分の数等、様々なパラメータを自在に調節した凝縮体が作成されている。一方、デルタ関数気体は、1次元量子多体系の中でも最も基本的な厳密に解ける模型の一つであり、豊かな数理構造を持つ模型として研究されてきた。近年では、デルタ関数気体は、凝縮体の擬1次元的な閉じ込め条件下における実効ハミルトニアンとして、より広い興味を集めている。デルタ関数気体の基底状態は、構成粒子の統計性(ボース粒子かフェルミ粒子)と成分数、相互作用の符合(引力/斥力)に従い分類され、1つ以上からなる積分方程式系により記述される。 本年度は、2成分デルタ関数気体の基底状態の研究を行った。具体的には、次の4点を実施した。 1. 2成分引カフェルミ気体の擬運動最とスピン波数の分布関数を、スピン偏極ゼロにおいて、展開パラメータの高次の項まで計算した。続いて、この模型が、弱い引力で形成されるフェルミ粒子のペアが、引力が増すに従いボース統計性を獲得する、という3次元系で有名なBCS-BECクロスオーバー理論を、1次元で定最的に記述していることを見出した。 2.2成分引力フェルミ気体の擬運動量とスピン波数の分布関数を、任意のスピン偏極で計算し、エネルギー等の物理量を計算した。 3.2.と同様の解析を、(1)2成分斥力フェルミ気体 (2)ボース・フェルミ混合気体 について行った。 以上において、解析的な手法で得られた結果は数値計算により綿密に検証した。 国内の物理学会や国際シンポジウムへ参加し、研究成果を口頭/ポスター発表した。さらに、上記1、2の内容を、2件の雑誌論文として発表した他、学位論文に全てを詳述した。2に関する詳細なFull Paperを、投稿に向けて準備中である。
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