2006 Fiscal Year Annual Research Report
電界効果トランジスタ(FET)構造を用いた遷移金属酸化物の静電キャリア濃度制御
Project/Area Number |
06J11139
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 浩之 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電界効果 / ペロブスカイト / 酸化物 / 金属絶縁体転移 / トランジスタ |
Research Abstract |
今年度は有機高分子をゲート絶縁膜として用いる新たな酸化物FET素子を考案し、素子の作製手法の最適化に取り組んだ。この手法を代表的なペロブスカイト型酸化物であるSrTi03に適用した結果、低温で電界誘起の金属絶縁体転移の観測に成功した。これは遷移金属酸化物としては世界ではじめての成果である。さらに、誘起された電子の金属状態における移動度は1000cm2/Vsに達し、素子が非常に高品質であることを示している。また、磁気抵抗の異方性により、酸化物表面に二次元電子系が形成していることを示唆する結果を得た。酸化物界面の二次元電子系はこれまで技術的な問題で作製が困難であった。我々の素子は二次元電子系のキャリア密度をゲート電圧によって連続的に変化させることができる点がメリットであり、この分野の研究に大きく寄与するものと考えている。 現在、酸化物表面に電界誘起されたキャリアの輸送特性を極低温まで調べ、その基底状態を明らかにすることを目指している。最低温で超伝導状態が実現されるのかが最も興味深い問題である。さらに、磁気抵抗効果、あるいはその量子振動の詳細を調べることでキャリアがどのように酸化物表面に束縛されているかを解明できると考えている。これらの目標を達成するためには極低温における測定が重要となるため、1K以下の温度域で測定するための冷却装置、測定機器のセッティングを進めている。
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Research Products
(1 results)