2008 Fiscal Year Annual Research Report
運動からの構造復元および運動視差における総合的モデルの構築
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06J11352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 研知 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 実験心理学 / 視覚 / マルチモーダル / 立体視 |
Research Abstract |
(1)奥行き対比効果は「奥行き」表象一般のものか(その2)前年からの継続により、両眼視差定義の刺激で確認されている奥行きの対比効果が、奥行き処理上での対比なのか、両眼視差処理の途中段階で起きているのかを調べた。今回は圧縮方向の視差勾配がある場合と、剪断方向の視差勾配かおる場合を検討した。実験の結果は、奥行き知覚の決定にあたって、両眼視差が運動視差に優越することを示す。その優越については、(1)両眼視差の方が早いステージで処理されるため遅い運動視差からの影響を受けることがない(2)両眼視差刺激を主観的に垂直に調整するよう指示していることから、単に主観的奥行き感の表現において両眼視差を基準に組み立てられる、という2つの可能性が示唆された。 (2)ポイント光の能動的な操作による三次元奥行き知覚に関する研究機械による物体の三次元形状の計測方法の1つにレーザー光走査による三角測量がある。これは近年作られた方法であり、人間の空間知覚能力として検討されてきたことはなかった。これを調べるため、刺激物体上にレーザー光を走査させ、それを観察者が観察して凹凸を判断する実験を行った。観察者は光源を手で能動的に振ることで光源の位置と角度の情報を得ることができる。実験の結果、人間もある程度はこの方法で奥行き構造を知覚できることがわかった。また、その構造知覚は、奥行き変化による走査光の見掛け上の速度変化成分よりも見掛け上の運動方向の変化に大きく依存することがわかった。既存の研究で人間は加速度を知覚しづらいことが知られており、これはそれを反映したものといえる。また、方位検出器でも検出可能な情報が利用されやすく、そもそもワイヤーフレーム的な線遠近法的に奥行き形状を見ていた。
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