2007 Fiscal Year Annual Research Report
量子ホール素子を利用したテラヘルツ光近接場顕微鏡開発とそれを用いた物性研究
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06J11417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高瀬 恵子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表面超構造 / 走査トンネル顕微鏡 / 光電子分光 / 電気伝導 / 磁気円二色性 / ナノ構造 / ホール効果 / 近接場 |
Research Abstract |
本研究は、顕微鏡装置開発と、それを利用した基礎的物性及びその背後の物理機構の解明である。装置開発においては、昨年度納入された、強磁揚下電気伝導及びSTM測定用超高真空装置に組み込める電気伝導測定用の針をテストし、電気伝導度の温度依存を測定できることを確認した。現在は、超高真空対応強磁場下電気伝導の予備測定め段階であり、今後、前年度試作した近接場達成のための金属針の導入を進める予定である。次に、測定試料については、従来のGaAs/AIGaAsヘテロ構造以外にも、表面超構造等に対象を広げるため、昨年度に引き続き、Siを基板とした表面超構造の基礎的構造及び電子状態を光電子分光等により調べた。特に、昨年度に基礎物性を調べた二次元電子ガス表面(Si(111)√3×√3-Ag表面)にMnを吸着した系の磁性情報を得るため、今年度は高エネルギー加速器研究機構の軌道放射光施設で、磁気円二色性測定に取り組んだ。試料ホルダー等の作成・試料移送機構の組立て、などの装置立ち上げを行い、150K,0.2Tのもとで測定可能な装置を立ち上げ、現在予備データを取得した段階である。さらに、今年度は二次元電子ガス表面、Si(111)√7×√3-In表面にCoを吸着した表面の電気伝導度め温度依存性を測定し、15K以下で特徴的な抵抗の増大を観測した。今後、系統的なデータをとり、伝導機構の考察を進める。 また、今年度は前年度に測走した、Si(111)7×7表面電気伝導度について理論計算と比較しながら考察を深め、やはりバンド描像では説明できないことを見出した。この結果は論文にまとめ、現在投稿中である。また、今年度は前年度取り組んだ、GeSnナノドットの量子サイズ効果の論文が出版された。さらに、Mn/Si(111)√3×√3-Ag表面の成長機構をSTM観察した論文を現在投稿中である。
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