2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J11448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 飛鳥 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 沈み込み帯 / 地震発生帯 / 付加体 / 断層 / 流体 / 鉱物脈 / 南海トラフ |
Research Abstract |
平成18年度は以下の研究を行った. 1.南海トラフにおける地震発生帯の広がりと海底地形の分布とが,沈み込む堆積物の物性変化に強く依存していることを示唆する理論的研究を行った(Kimura et al.,2007).また,南海トラフに流入する堆積物量をレビューし,堆積物がほぼ100%付加体中にリサイクルされていることを明らかにした(Kimura et al.,in press).これらは,プレート境界型地震の発生場,特に南海トラフにおける,現世の観測結果と地質現象とをリンクする基礎研究として重要である.また,以前から研究を行っている四国四万十帯牟岐メランジュでの,断層運動と同時の流体挙動に関する研究の速報を行った(氏家ほか,2006).現在,その詳細をほぼ仕上げ,投稿準備中である. 2.7〜8月に米国アラスカ州Kodiak付加体,12月には米国カリフォルニア州Franciscan付加体における過去のプレート境界断層の野外地質調査を合計約1か月にわたって行った.それぞれ詳細な露頭の記載に加え,合計100kg近いサンプルを採取した.Kodiak付加体では鉱物脈が少なく,代わりに厚さ15m程度の流動化したカタクレーサイトと厚さ5〜20cm程度の黒色細粒の断層岩が産する.これは四万十帯と同様に流体の関与が示唆される構造であるが,四万十帯やFranciscan付加体の典型的な断層岩の産状(鉱物脈を伴う,幅数mmの薄い断層が数百条繰り返す)とは全く異なっている,この差異は水の流れの不均一性(拡散的流れか移流的流れか)に強く規制されている可能性があり,その定量的な評価手法を開発中である. 3.上記の地質調査によって採取した岩石の薄片・研磨片を作成し,現在SEM, EPMAにより解析中である.また,平行して四国および九州四万十帯の岩石の流体包有物・同位体分析を行っている.
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