2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規エステル等価体を活用した触媒的多不斉中心同時構築法の開発と医薬化学への応用
Project/Area Number |
06J11617
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森本 浩之 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機合成 / 触媒的不斉反応 / トリクロロメチルケトン / マンニッヒ型反応 / エステル等価体 / 希土類フェノキシド / キラルPybox配位子 / β-アミノ酸誘導体 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、単純アルキルニトリル類を求核剤とする直接的触媒的不斉反応の開発であった。そこで、種々のアミン塩基を面不斉源として触媒内に取り込んだ新規カチオニックルテニウム触媒の設計・合成、及び種々のアルキルニトリル類への応用を試みたが、これらは当初の予想に反して困難を極めた。そこで、前年度の研究目的であったトリクロロメチルケトンをエステル等価求核剤とする直接的触媒的不斉反応の更なる展開について検討を行ったところ、ルイス塩基の構造をビスフォスフィンオキシドへと変化させることにより、これまでとは逆の高アンチ選択的な直接的触媒的マンニッヒ型反応が進行することが明らかとなった。また、本反応系はアリールオキシド部位の構造を変化させることにより、エナンチオ選択的反応へと展開可能であることも確認した。さらに、本研究の過程において、Pyboxやビスフォスフィンオキシドといったルイス塩基が存在しないと反応が進行しないことが明らかとなり、この知見をもとにルイス塩基によるブレンステッド塩基の活性化というこれまでにない新たな概念を確立することができた。現在本反応の基質一般性及び反応機構の解明について検討を行っており、完了次第すみやかに学術雑誌に投稿する予定である。また、本年度の当初の研究目的であった単純アルキルニトリル類を求核剤とする直接的触媒的不斉反応に関しても、今回新たに見いだした本概念を基盤として新たな触媒設計を行い、速やかに達成する予定である。
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