2006 Fiscal Year Annual Research Report
磁場勾配NMR法による人工バリア材中の水分子及び金属イオンの拡散挙動に関する研究
Project/Area Number |
06J52392
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 貴文 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 磁場勾配NMR法 / 拡散 / テンソル / 粘土 / ランダムウォーク / Cs / NMRプローブ / 地層処分 |
Research Abstract |
水分子及び金属イオンの拡散係数は、地層処分の安全評価において核種移行予測を行う上で重要なパラメータである。本研究では、人エバリア材の中でも緩衝材の主成分となる粘土鉱物・モンモリナイトの含水状態における水分子及び金属イオンの拡散係数を迅速かつ高精度で取得する為に、磁場勾配醐R法を用いた研究を進めてきた。 本年度は、モンモリナイトゲル中の水分子の拡散テンソルの評価法として、磁場勾配を二軸同時に印加することによって異なる6方向の拡散係数を取得し、これらのデータよりコンピュータプログラムを用いて拡散テンソルを決定する手法を確立した。また、粘土粒子を扁平な板状粒子と捉え、その中の水分子の拡散をランダムウォークとして取り扱うモンテカルロ・シミュレーションにより粘土ゲル中の水分子の拡散挙動を再現し、板状粒子の配向度に応じて拡散異方性が如何に変化するかを視覚的に把握できるようにした。この実験・計算両手法を用いることで、粘土粒子が従来のモデルよりも空間的な揺らぎを有する配向(ネマチック相)を示すことを明らかにした。さらに、金属イオンの拡散係数を取得する為、^<137>Cs測定用のプローブを開発した。ブローブのボディ部分はアクリルを用いて作成し、その外側に銅箔を貼ることによって外部からの電気的ノイズを遮断した。NMR信号の送受信において最も重要となるタンク回路は、非磁性のキャパシタ、銀線(または銅線)を使用したソレノイド型コイル、および同軸ケーブルより作製した。このCs用プローブによって、塩化セシウム水溶液(1.0M=mol cm^<-3>)について、静磁場7.01T下におけるCsの90°パルスを決定する(30μs)と共に、Csイオンの拡散係数、T1及びT2緩和時間などを測定した。その結果、各3軸方向(X, Y及びZ)のCsイオンの拡散係数は等しく(2.02±0.06x10^<-9>m^2 s^<-1>)、過去の測定値とも一致し、今回開発したプローブによってCsイオンの拡散係数が正しく測定できることが示された。さらに、Csイオンの拡散係数のCsC1濃度依存性より、CsCl濃度が増大するとともにCsイオンの拡散速度は一貫して遅くなることを見出した。一方、水分子の拡散係数は、CsCl濃度02-3、75Mの領域においては、濃度上昇とともにわずかに(最大7%程度)増大するのに対し、CsCl濃度3.75M以上の領域においては濃度上昇とともに減少することを見出し、CsCl水溶液中の水分子の拡散速度が濃度に対して極大値を有する変化となることを見出した。 さらに、来年度の為の基礎的研究として、高アルカリ環境下で処理したモンモリナイトを準備し、その構造変化について高分解能固体脳R測定、細孔分布測定などを踏まえて検証した。
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Research Products
(2 results)