1995 Fiscal Year Annual Research Report
環インド洋西域諸社会における伝統の継承と創出-アジア・アフリカ・アラブ文化の同化と差異化
Project/Area Number |
07041008
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
長島 信弘 一橋大学, 社会学部, 教授 (60008646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 由紀 一橋大学, 社会学部, 助手
森山 工 広島市立大学, 国際学部, 講師 (70264926)
深沢 秀夫 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (10183922)
浜本 満 一橋大学, 社会学部, 教授 (40156419)
内堀 基光 一橋大学, 社会学部, 教授 (30126726)
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Keywords | タンザニア / コモロ / マダガスカル / インド洋西域 / 交易ネットワーク / 伝統 / 東南アジア / アラブ・イスラム |
Research Abstract |
調査はおおむね当初の計画通り進行した。タンザニア、コモロ、マダガスカルとも、国内の政治状況あるいは現地研究機関との折衝のために、幾分予期せぬ時間を費やしたものの、調査そのものへの支障はきたさなかった。研究代表者、各研究分担者とも、当該の研究地域において、広範な海上および陸上の交易ネットワークの存在を確認し、次年度よりの一層インテンシブな調査への足がかりをうることができた。タンザニアにおいては、このネットワークの中核は大陸海岸部と島しょ部とのあいだの人と物の交流に見られ、またマダガスカルにおいては東部海岸地域と中部高原地域とのあいだの伝統的知識の交流に見られる。コモロはまさしく由来を異にする人間集団の交流の現場であり、研究協力者(花淵)によって、この交流の実態について分析が進められた。本研究の課題であるインド洋西域という地域規定に即していえば、マダガスカルとタンザニア海岸部との接触についての調査は諸についたばかりであるが、本年度の調査によって、歴史的に多重な交流があることが、マダガスカル側の複数のインフォーマントによって示唆された。さらに、当該諸社会において伝統ないし古来の知識とされているものの多くの部分が、人々によっては意識されないものの、歴史的には東南アジア起源、あるいはアラブ・イスラム起源のものであることが、明らかになった。こうした伝統と、さらにはより近年になって海外からもたらされた文物の緊張関係についても、当該の諸社会において予備的ではあるが、調査が進められた。
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