1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 勇 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (80093334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DALLMEIER Fr スミソニアン研究所, 研究員
尹 紹亭 雲南省民族博物館, 副研究館員
高谷 好一 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (90027582)
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (50115789)
阿部 健一 京都大学, 東南アジア研究センター, 助手 (80222644)
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究センター, 助手 (80183804)
林 行夫 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (60208634)
古川 久雄 京都大学, 東南アジア研究センター, 教授 (00026410)
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Keywords | 生態文化複合系 / ヒマラヤ / エコツーリズム / 雲南 / 西双版納 / ナシ族 / 少数民族 / 森林破壊 |
Research Abstract |
本年度は、中国の雲南省を中心とする少数民族の森へのとりくみ方を一つのテーマとして、集中的に調査し、それに付随して、周辺のタイ、ラオス、ネパールの各地で、森と人との実態について臨地調査を行った。 雲南では、ビルマ、ラオス国境の西北部から南部の西双版納にかけて、調査をおこなった。北のチベット族から南下して、怒族、ナシ族、リス族、ジンポー族からタイ族への移りかわりは、それぞれの民族の特色が顕著にあらわれたが、伝統的に森の一部分を大切に保存している事実は、どの民族でも共通していた。森の資源量としては、北から南下するにしたがって豊富になる。各民族間の交流とともに漢文化の影響の大きさも見逃せない。また国境とは関係なく、中国、タイ、ラオス、及びビルマの間を相互にいききする人と物の流れが最もダイナミックにみられるのもこの地域である。東南アジア島嶼部の海域世界とのつながりとは異なり、内陸交易路の中心として、この地域の森林資源は、極めて重要である。また、東南アジアの地域性を考える上で、北の境界をかたちづくるこの地域の生態文化複合系は、さらに詳細な調査が必要である。 一方、ネパールでは、20年前の最も森林破壊が強かったとされる時期に入った多くのODAやNGOの効果があらわれはじめ、様々な修復活動の経過をみることができる。特に興味深いのは、最貧困層と、女性の意見をとり入れた開発計画を実行することが、大きな流れとなっていることである。ヒマラヤという世界第一の山脈のおかげでエコツーリズムは盛んであるが、土着の生態文化に及ぼす影響も大きい。また、南部のタライ平原ではインドの影響が大きい。 いずれの地域も大文明の影にあって、目立つことはないが、極めて独自の生態文化複合維持機能が綿々とひきつがれていることが知ることができたのは、大きな収穫であった。
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Research Products
(23 results)
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[Publications] Yamada,isamu: "Aloeswood Forest and the Maritime World" Southeast Asian Studies. 33(3). 181-186 (1995)
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[Publications] 古川久雄: "Meiji Japan′s Encounter with Modernization" 東南アジア研究. 33. 497-518 (1995)
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[Publications] 古川久雄: "東南アジアの生態環境の変貌" 総合的地域研究成果報告書. 10. 5-15 (1996)
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[Publications] 林行夫: "復興するカンボジア仏教の現在" 大法輪. 62(10). 146-149 (1995)
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[Publications] 河野泰之・竹田晋也: "タイ国東北部の村落レベルの土地利用の交換と村落共有林の役割" 第5回日本熱帯生態学会講演要旨集. 35-35 (1996)
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[Publications] Kono,Yasuyuki,Takeda,shinya: "Roles of Community Forest Land under Rapid Economic Growth in Northeast Thailand" (発表予定).
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[Publications] 阿部健一: "スマトラ泥炭湿地林に暮らす人々" 地理. 40(18). 53-59 (1995)
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[Publications] 阿部健一: "雲南と東南アジア" 総合的地域研究. 12(発表予定). (1996)
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[Publications] 市川光雄: "狩猟採取社会における道具使用・協業・分配" 霊長類研究. 11. 231-238 (1995)
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[Publications] Takaya,Yoshikazu: "The Starting Point of International Cooperation" Technology and Development. 8. 5-9 (1995)
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[Publications] 山田勇: "沈香の香り 安田・菅原編「森と文明」所収" 朝倉書店, 259(125-129) (1996)
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[Publications] E. O. Box,R. K. Peet,T. Masuzawa,I. Yamada他 編著: "Vegetaion Science in Forestry-Global Perspective based on forest ecosystems of east and southeast Asia" Kluwer Academic, 663 (1995)
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[Publications] Yamada,Isamu: "Stratification of several peat swamp forest types in Brunei Darussalam“Vegetaion in Forestry-Global Perspective based on forest ecosystems of east and southeast Asia"" Kluwer Academic, 663(529-544) (1995)
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[Publications] Hayashi,Yukio: "“Notes on the Inter-ethnic Relation in History: With Special Reference to Mon-Khmer Peoples in Southern Laos,"Surat Worangrat ed.,“Ethnic Groups in Sakon Nakhon"" Ratchaphat Institute of Sakon Nakhon, 1-26
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[Publications] 林行夫: "「ラオ」イサーン」「カ-族の乱」「パ テト・ラオ」「ムアン」「ラオ・トゥン」「ラオ・スーン」梅棹忠夫監修、松原正毅・NIRA編『世界民族問題事典』所収" 平凡社, (1995)
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[Publications] 林行夫: "カンボジア仏教の復興過程に関する基礎研究-現地調査報告資料-大橋久利編『カンボジアの社会と文化』所収" カンボジア総合研究会, 290-389 (1995)
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[Publications] 林行夫: "・ラオ人社会をめぐる東北タイ・ラオス関係・ラオスの宗教モザイク-多民族社会における実践-ウドム・ラタナウォン編『ラオス』所収" めこん, ((印刷中))
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[Publications] 市川光雄: "ムブティ・ピグミーの子どもたち 恩賜財団母子愛育会編『子育て万華鏡』所収81-86p" メディサイエンス社, 222 (1995)
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[Publications] 市川光雄・塙狼星: "アフリカのヤシ酒 吉田集而・山本紀夫編『酒をつくる植物』所収111-118p" 八坂書房, 343 (1995)
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[Publications] 高谷好一: "世界のなかの世界単位 矢野暢編著『世界単位論』所収" 弘文堂, 25-47 (1995)
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[Publications] 高谷好一: "中華世界 矢野暢編著『世界単位論』所収" 弘文堂, 165-185 (1995)
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[Publications] 高谷好一: "海から見たヨーロッパ 小泉格・田中耕司編著『文明と環境』所収" 朝倉書店, 162-175 (1995)
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[Publications] 尹,紹亭: "雲南物質文化-農耕巻" 雲南教育出版社, 386 (1996)