1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041037
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
松原 正毅 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, センター長(教授) (30110084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楊 海英 関西外国語大学, 専任講師 (40278651)
萩原 守 神戸商船大学, 国際文化学系, 助教授 (20208424)
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 第一研究部, 助教授 (30188750)
林 俊雄 創価大学, 文学部, 助教授 (50132759)
堀 直 甲南大学, 文学部, 教授 (80140391)
濱田 正美 神戸大学, 文学部, 教授 (30109061)
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Keywords | モンゴル / トルコ / 歴史民族学 / エスニシティ / アイデンティティ / 遊牧 / 石人 / 鹿石 |
Research Abstract |
1995年8月2日から31日の約1ヶ月にわたって、モンゴル国首都ウランバートルから西方へ向かって約6000キロをジ-プ3台で走破し、西モンゴル地方の歴史民族学的調査を実施した。その学術的成果は主として次の通りである。 まず第一に、これまでロシア語文献など限られた情報でしか知られて来なかった古代遊牧民の遺跡(鹿石、石人等)について現地を捜索して実物を確認するとともに、従来知られていなかった新たな遺跡を幾多も発見し、地図上での正確な位置および遺跡の形状について克明に記録した。 第二に、モンゴル国の主流を占めるハルハ族と歴史的に潜在的な対立関係にあるオイラト・モンゴル系の諸集団およびウリヤンハイ族について、聞き取り調査をおこない、その部族アイデンティティの実態を把握した。 第三に、オイラト・モンゴル系諸集団のなかで混住しているカザフ、ホトン、ウイグル、トバについて、聞き取り調査をおこない、そのモンゴル化現象および反モンゴル意識の実態を把握した。 そのほか、民主化以降の経済的混乱のもとで草原部で遊牧民がどのように生活しているかという実態も充分に把握することができた。 以上の点について、今後も継続的に調査を行なったうえで、トルコ・モンゴル系諸集団が歴史的に相互に部分的に入れ替わりながら民族性(エスニシティ)を形成しているという重層性について、調査隊のメンバー各自がそれぞれ論文にまとめる予定である。
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[Publications] 林 俊雄: "フン族あらわる" 『講座 文明と環境6:歴史と気候』朝倉書店. 78-92 (1995)
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[Publications] 林 俊雄: "鞍と鎧" 創価大学人文論集. 第8号. (1996)
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[Publications] 林 俊雄: "草原遊牧文明は成立するか?" 『講座 文明と環境2:地球と文明の画期』朝倉書店. 171-182 (1996)
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[Publications] 萩原 守: "ト・ワンの教えについて--十九世紀ハルハ・モンゴルにおける遊牧生活の教訓書--" 国立民族学博物館共同研究報告. (予定). (1996)
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[Publications] 萩原 守: "西部モンゴルの民族・遺跡調査(1995年)" 神船大広報. No.100. 11-12 (1995)
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[Publications] 楊 海英: "白い食物と動の思想--モンゴルにおける食の入手法" 『食と健康の文化人類学』学術図書出版社. 21-36 (1995)
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[Publications] 小長谷 有紀: "モンゴル草原の生活世界" 朝日新聞社, 270 (1996)