1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041051
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
赤阪 賢 富山大学, 人文学部, 教授 (60099231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 潔 富山大学, 人文学部, 助教授 (40212021)
竹沢 尚一郎 九州大学, 文学部, 助教授 (10183063)
梶 茂樹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (10134751)
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Keywords | 市場経済 / 消費的文化 / 文化変化 / 商品化 / 生産構造 / 経済自由化 / ギニア / ギニア・ビサウ |
Research Abstract |
本研究は全体計画の2年度目に当たり、タンザニア国東部モロゴロ地域、マリ国南部バマコ地域、ギニア国東部カンカン地域、ギニア・ビサウ国西部ボラマ地域の四カ国で、農村社会における社会・文化変化の実態調査を行った。ギニア・ビサウは前年度のギニア調査との比較のために加えられた。タンザニアについては梶(研究分担者)が参加し、多数の民族が共住するスワヒリ農民社会の文化変化の実態調査を実施した。ギニアでは今回はじめてカンカン大学社会科学部との研究協力体制を組み、経済学および社会学のスタッフの協力で、赤阪(研究代表者)がカンカン県全域のエクステンシブな実態調査を実施し、市場経済の浸透の度合いに伴って、村落にきわめて流動的な状況が生まれつつあり、格差が生じつつある実態を把握することができた。特に都市-農村間の人口移動、農産物などの商品化などの要因で消費主義の傾向がすすみ、住民間に経済行動の多角化が進展し、伝統的な家族および村落の構造にも影響がおよび、文化変化が起こりつつある現状が把握できた。マリのバマコ地域では首都の後背地域の農村部において前年に引き続き都市化・商業化・イスラム化が一体となって社会・文化変化が浸透し、商業的農業の普及にとどまらず、現金獲得の手段の多角化が進展しつつある状況を把握した。竹沢はギニア・ビサウの調査にわが国ではじめて着手し、今後の調査の可能性を切り開いたが、不慮の事故のため途中帰国を余儀なくされた。後を竹内が引き継ぎ、当初の目的を果たすことができた。具体的には農業や漁業など伝統的な自給生産から商業的生産の移行状況、生産物の商品化の進行や消費欲求の拡大状況にかんする資料を収集した。タンザニアは市場経済の浸透がずっと進展しており、スワヒリ農耕民社会における伝統文化の衰退の現象と、多様なメディアを媒介としたあらたな共通文化の形成の動向が把握できた。
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[Publications] 赤阪賢: "マリ農村における消費的文化の浸透" 第33回日本アフリカ学会学術大会研究発表要旨. 80 (1996)
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[Publications] 赤阪賢: "ギニア、カンカン地域の商業的農業" 第34回日本アフリカ学会学術大会研究発表要旨. (予定). (1997)
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[Publications] 梶茂樹: "Lenom personnel tembo,analyse ethnolinguistique" Bulletin des Seances(Academie Royale de Sciences cl Outre-Mer de Belgique). 41-3. 345-362 (1996)
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[Publications] 梶茂樹: "Tone Reversal in Tembo(Bantu J57)" Journal of African Languages and Linguistics. 17-1. 1-26 (1996)
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[Publications] 竹沢尚一郎: "ギニア予備調査報告" 第33回日本アフリカ学会学術大会研究発表要旨. 21 (1996)
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[Publications] 竹内潔: "Sembe と bando" 動物考古学. 8(予定). (1997)
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[Publications] 赤阪賢: "アフリカ女性の民族誌" 明石書店, 27 (1996)
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[Publications] 赤阪賢: "アフリカ研究 人・ことば・文化" 世界思想社, 16 (1993)
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[Publications] 竹沢尚一郎: "贈与と市場の社会学" 岩波書店, 16 (1996)