1996 Fiscal Year Annual Research Report
世界におけるジャポニカ米の生産・流通と潜在的生産能力に関する学際研究
Project/Area Number |
07041059
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
伊東 正一 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30222425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GREENWALT Be アーカンソー州立大学, 講師
SHAFFER Stev カリフォルニア州食料, 農業省, 研究官
松村 一善 鳥取大学, 農学部, 助手 (80283977)
WAILES Eric アーカンソー大学, 農学部, 教授
斉藤 俊之 鳥取大学, 農学部, 助教授 (40032304)
仙北谷 康 鳥取大学, 農学部, 講師 (50243382)
笠原 浩三 鳥取大学, 農学部, 教授 (60135837)
小林 一 鳥取大学, 農学部, 助教授 (40225529)
KUMAR Pradum 国立インド農業研究所, 教授
P.SINGH Gill プンジャブ農業大学, 教授
樋口 英夫 鳥取大学, 農学部, 教授 (60032083)
長谷川 優 鳥取県農業試験場, 研究員
橋本 俊司 鳥取県農業試験場, 研究員
宮田 邦夫 鳥取県農業試験場, 研究員
藤田 安一 鳥取大学, 教育学部, 教授 (90252840)
山口 武視 鳥取大学, 農学部, 助手 (30182447)
津野 幸人 鳥取大学, 農学部, 名誉教授 (00036287)
山路 永司 東京大学, 農学部, 助教授 (10143405)
加古 敏之 神戸大学, 農学部, 教授 (00121533)
稲本 志良 京都大学, 農学部, 教授 (80026468)
TIAN Weiming 北京農業大学, 助教授
WENG Li 中国農業科学院, 農業経済研究所, 助研
CALLEGARIN A 全伊コメ協議会稲作研究所, 研究員
HERRUZO Casi コールドバ大学農学部, 教授
ZHONG Funing 南京農業大学, 教授
NAN Bing Yua 中国黒龍江省, 総農芸師
HUA Jiang 華南農業大学, 助教授
WEN Simei 華南農業大学, 経済貿易学, 教授
BHARAT Maina 国際食料政策研究所, 客員研究員
NIPON Poapon カセサート大学, 助教授
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Keywords | ジャポニカ米 / 流通 / 潜在的生産能力 / 世界 |
Research Abstract |
今年度の調査は南米南部(ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン)のジャポニカ米の潜在的生産能力の調査に重きを置いた。この三ヶ国における水田はブラジルが100万ha、ウルグアイ及びアルゼンチンがそれぞれ15万haが経営されている。驚いたことに、これらの地域では放牧地が広大な広さを誇っており、近年のコメの国際価格の高値のあおりで、放牧地を水田に切り換える経営体が増加している。特にウルグアイとアルゼンチンではその傾向が強く、この5年間で水田の面積は50%増加している。よって、国際価格がこのまま高値を継続すれば、この地域の開田はますます盛んになるであろう。 そもそもこの地帯は起伏の極めて少ない、標高の低い地形であり、地下水で水供給の可能な所では開田はコストをあまりかける必要がない。また、これらの地域は気候及び緯度から見てジャポニカ米の生産に適している地帯であることが判明した。 中国は東北部の黒龍江省で開田はその後も進み、1996年産は同省内の水田面積は遂に100万haの大台を突破した。全生産面積がジャポニカ米であり、今後も開田は進むと推測される。一方、南部の雲南省では約100万haの水田があり、かつて6:4の割合でインディカ米が主流を占めていたが、近年ではこれが逆転し、ジャポニカ米が6に対しインディカ米が4の割合となっている。中国では全国的に今後もジャポニカ米への切り換えが続けられよう。 雨量が少なく、半砂混地帯で水田が営まれているため開田の道は自ずと閉ざされている-と言われてきたオーストラリア。本研究で1992年に現地を訪れた際には当地の稲生産組合でも作付け面積は12〜3万haが限度である、と公言していた。しかし、近年の高値で、1996年の作付け面積は16万haを越えた。一方、現在は生産が行われていないニュージーランドでも、1960年代は作付け時の洪水で稲作を断念した経過がある。しかし、現在はダムの建設でその心配はなくなった。北島の中部及び東部を中心に少なくとも数万haの適地があり、現在は南米ケースと同様に放牧地に利用されている。しかし、市場価格が一定以上に上昇すればジャポニカ米生産に向かう可能性がある。 南米南部やオーストラリアでは開田が進み、中国では開田とともにジャポニカ米への切り換えが進んでいる。このことは、ジャポニカ米が生産地域内で多く消費されるようになるだけでなく、国際貿易においてもジャポニカ米が増大する可能性を秘めていると判断される。 本研究では毎年度にわたって一般市民を招き報告会を開催している。今年度は第5回となり、3月7日に東京大学で開いた。本研究で得た新しい情報を少しでも早く、一般社会に伝えるのがこの報告会のねらいであるが、全国から100人余りの参集を得た。研究機関、教育機関、行政担当者、コメ流通関係者、そして、生産省や消費者に至るまで幅広い層の方々が出席され、午前10時から午後5時半までの長時間にもかかわらず、熱心にメモをとっておられた。本研究への強い期待を我がプロジェクトチーム一同、痛感した次第である。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] H.Higuchi,et al.: "Low Cost Rice Production and Machine Sytem in Japan" Proceeding of the International Agricultural Engineering Conferenc 1996. (印刷中). (1996)
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[Publications] S.Ito,et al.: "Structural Change in World Rice Economies : Is It Still Inelastic?" Proceedings of the Asian Societyof Agricultural Economists 1996. (印刷中). (1996)
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[Publications] K.Kasahara,et al: "Retail Prices of Japonica Rice in the United States of America" J.Fac.Agric.,Tottori Univ.32. 49-58 (1996)
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[Publications] S.Ito: "Do Japanese Like Japonica Rice Grown Outside Japan?" Farming Japan. 30-5. 25-31 (1996)
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[Publications] 伊東正一: "新時代に入った世界のコメ需給(第1回):拡大する貿易と縮小する国際価格の変動幅" 食糧振興. 59. 4-8 (1996)
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[Publications] 伊東正一: "新時代に入った世界のコメ需給(第2回):生産を自由にしたアメリカの1996年農業法" 食糧振興. 60. 4-9 (1996)
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[Publications] 伊東正一: "新時代に入った世界のコメ需給(第3回):意欲に燃える南米のジャポニカ米生産" 食糧振興. 61. 14-19 (1996)
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[Publications] 伊東正一: "輸出競争力の強化を目指すアメリカの新農業法" 農業と経済. 62-9. 17-24 (1996)
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[Publications] 笠原浩三、伊東正一、仙北谷康: "米国におけるジャポニカ米の流通と地域小売価格差" 1996年度 日本農業経済学会論文集. 別冊. 190-195 (1996)
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[Publications] 伊東正一: "世界のコメ統計 食糧振興会叢書45号" 社団法人 全国食糧振興会, 367 (1996)