1996 Fiscal Year Annual Research Report
南部アフリカ諸民族の民族学的研究-国境をこえて分布する民族の伝統と変容に注目して-
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07041071
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
栗田 和明 立教大学, 文学部, 助教授 (10257157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 一明 慶応義塾大学, 法学部, 助教授 (80159970)
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Keywords | ニャキュウサ人 / ンデベレ人 / ツワナ人 / ズールー人 / ジンバブウェ / タンザニア / マラウィ / 南アフリカ |
Research Abstract |
現在までに、各地の調査から以下のことが判明している。 ジンバブウェの農村部に於いては、日常生活の多くが国家的体制からの影響がほとんどない状態で営まれていることが判明した。一方で国の中央機関としては国家からのさまざまなサ-ヴィスと、国家への義務の存在をアピールしており、これらに挟まれる村人の生活から「国民国家」概念を検討する材料を得た。 タンザニアのニャキュウサ人が現在もっともふつうに踊るダンスは、マラウィ方面から20世紀初めに伝わったものであることが分かった。現在でもこのダンスの本場はマラウィとされており、ダンスティームやダンスの師匠の交流は、タンザニアーマラウィの国境を越えて活発におこなわれている。 南アフリカの国内2ヵ所、ジンバブウェの1ヵ所にンデベレ人は居住しているが、相互の交流はあまり見られない。一方、南アフリカ東南部に居住のズールー人と東北部〜ジンバブウェ南部居住のンデベレ人は、言語的に類似性は高いが、物質文化上では大きな違いがあることがわかった。この差異は、19世紀前半のンデベレ人のズールー王国からの離反以降に生じたものと考えられる。 南ア-ボツワナの国境に近い旧ボプタツワナ(ホームランド)のツワナ人はボツワナにかけても居住するが、経済・情報の面では南アフリカ内のマバトがボツワナを含めた地域の中心地になっていることが分かった。また、彼らのヨハネスブルグへの出稼ぎと出身地との紐帯についての知見を得た。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 栗田 和明: "イゴマ -タンザニアとマラウィを結ぶダンス-" 季刊民族学. 79. 56-63 (1997)
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[Publications] 栗田 和明: "ニャキュウサ人の訪問活動と移動 -空間認識の理解への試み-" リトルワールド研究報告. 12. 1-27 (1995)
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[Publications] Inoue,Kazuaki: "Bureaucracy in Afsrican States,Preliminary Arguments,The functional conditions and malfunctions of bureaucracy" Keio Journal of Politics. 7(印刷中). (1997)
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[Publications] 亀井 哲也: "南アフリカ・ンデベレ族の暮らし" リトルワールド. 56. 12-15 (1996)
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[Publications] 井上 一明: "「アフリカ諸国の官僚制に関する試論 -官僚制の作動環境と機能不全-」 林 晃史(編)『民主化以後の南部アフリカ』所収 PP.1〜21." アジア経済研究所, 300 (1996)