1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本と北アメリカに分布するマメ科の系統および分類学的研究
Project/Area Number |
07041122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 広好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80011617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZARUCCHI J.L ミズリー植物園, 標本管理者
BOUFFORD D.E ハーバード大学, 植物標本館, 副館長
横山 潤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80272011)
根本 智行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50228293)
鈴木 三男 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80111483)
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Keywords | マメ科 / 日本 / 北アメリカ / 分類学 / 比較形態学 / 比較解剖学 / 分子系統学 / 葉緑体DNA |
Research Abstract |
北アメリカに産する日本と共通するマメ科植物(サイカチ属、フジキ属、ホドイモ属、ヌスビトハギ属、ハギ属、ヤブマメ属、フジ属)を収集・解析するために、8月1日〜8月31日に、アメリカ合衆国東部および中部で現地調査を行った。さらに、12月10日〜12月17日に、ハーバード大学で標本の解析を行った。現地調査では、目的とする種の大部分の押し葉標本、液浸標本および葉緑体DNA解析用試料を得ることができた。 現在、東北大学、ハーバード大学およびミズリ-植物園で押し葉標本を用いた分類学的研究を進めている。また、液浸標本を用いた花および果実の比較形態学・解剖学的研究、および葉緑体DNAのrbcL遺伝子とmatK遺伝子の塩基配列の比較による分子系統学的解析を東北大学で行っている。 比較形態学的研究により、ハギ属の日本に分布する種と北アメリカに分布する種とで花、果実および種子の形態に違いが見つかった。ハギ属の姉妹群と考えられる近縁属との比較から、北アメリカの種の形態がより進化していることがわかった。さらに、葉緑体DNAのrbcL遺伝子の解析データは、日本の種と北アメリカの種がそれぞれ単系統群であることを示し、形態進化は北アメリカの種の共通祖先がアジアの種から分化した際に起こったことが判明した。 また、ヌスビトハギ属の花粉形態を解析した結果、北アメリカの種は日本を含むアジアの種とは、発芽口周辺の形態が異なっていることが明らかになった。花粉形態は北アメリカの種が単系統群である可能性を支持した。 フジ属でも、日本の種と北アメリカの種とで果実および種子の形態に違いが見られ、ハギ属やヌスビトハギ属と同様に、日本と北アメリカ両地域間での形態の分化の程度が、同じ地域内よりも大きいことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Ohashi,T.Nemoto and T.-L.Wu: "The taxonomic position of Trifidacanthus (Leguminosae)" The Journal of Japanese Botany. 71(in press). (1996)
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[Publications] T.Nemoto and H.Ohashi: "The inflorescence structure of Campylotropis (Leguminosae)" American Journal of Botany. 83(in press). (1996)
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[Publications] Y.Endo and H.Ohashi: "The pollen morphology of Vicia (Leguminosae)" American Journal of Botany. 83(in press). (1996)