1997 Fiscal Year Annual Research Report
日本と北アメリカに分布するマメ科の系統および分類学的研究
Project/Area Number |
07041122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 広好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80011617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DOYLE Jeffre コーネル大学, 植物学教室, 助教授
横山 潤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80272011)
遠藤 泰彦 千葉県立中央博物館, 学芸研究員 (30250145)
根本 智行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50228293)
立石 庸一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (80114544)
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Keywords | マメ科 / 北アメリカ / 日本 / 分類学 / 比較形態学 / 比較解剖学 / 分子系統学 / 葉緑体DNA |
Research Abstract |
北アメリカに産する日本と共通するマメ科植物(ヌスビトハギ属、ハギ属、フジ属、ソラマメ属)を探索・収集するために、9月28日〜10月20日に、アメリカ合衆国テキサス州東南部、ジョージア州南部およびフロリダ州北部で現地調査を行った。また、北アメリカ産ヌスビトハギ属およびハギ属の分類学的研究を行うため、12月2日〜12月22日にアメリカ合衆国のニューヨーク植物園とハーバード大学で標本調査を行った。押し葉標本および液浸標本は、東北大学、琉球大学および千葉県立中央博物館で分類学的および形態学的研究を行った。また、東北大学およびコ-ネル大学で葉緑体DNA上の複数の遺伝子の塩基配列を解析した。 ハギ属の属内分類群を分ける重要な形質である閉鎖花の形態と変異をイヌハギを用いて調べた結果、花序形態と密接に関連して、形態の異変が起こることが明らかになった。この結果は、従来より近縁とされてきた北アメリカの種の閉鎖花の形態異変パターンと異なることが判明した。 葉緑体DNA遺伝子rbcLの解析の結果、ハギ属はヌスビトハギ属と同じ単系統群に属し、インゲンマメ連やPoraleae連の姉妹群であることが明らかになった。さらに、ヌスビトハギ連内では、葉緑体DNA遺伝子rp12イントロンの消失から、ヌスビトハギ亜連の金属とハギ亜連のハギ属、ヤハズソウ属、ハナハギ属とが単系統群であることを明らかにした。 葉緑体DNA遺伝子tmLとtmF間の被コード領域に着目して、ハギ属の大部分の種の塩基配列を解析した。その結果、ハギ属はアジアの種と北アメリカの種の各々からなる2つの単系統群からなることが明らかになった。したっがって、ハギ属では種分化の初期にアジアから北アメリカに種の侵入があり、その後、両地域間では種の行来がなく、それぞれの地域で独立に種分化が起こったものと考えられる。 また、同じ遺伝子領域を用いて、ユクノキ属、フジ属、ヤブマメ属についても両地域の種間で比較したところ、木本性のユクノキ属やフジ属の方が、草本性のハギ属やヤブマメ属に比べ、両地域間の遺伝的な相違が大きい傾向にあり、より早い時期に種分化が起こったものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y. Endo and H. Ohashi: "The morphology and anatomy of styles in Vicieae(Leguminosae)" The Journal of Japanese Botany. 72・1. 9-18 (1997)
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[Publications] C. Donovan Bailey, J. J. Doyle, T. kajita, T. Nemoto and H. Ohashi: "The chloroplast rp12 intron and ORF184 as phylogenetic markers in the legume tribe" Systematic Botany. 22・1. 133-138 (1997)
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[Publications] J. J. Doyle, J. L. Doyle, J. A. Ballenger, E. E. Dickson, T. Kajita and H. Ohashi: "A phylogeny of the chloroplast gene rbcL in the Leguminosae: Taxonomic correlations and insights into the evolution of nodulation" American Journal of Botany. 84・4. 541-554 (1997)
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[Publications] Y. Endo and H. Ohashi: "Cladistic analysis of phylogenetic relationships among tribes Cicereae, Trifolieae, and Vicieae(Leguminosae)" American Journal of Botany. 84・4. 523-529 (1997)
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[Publications] T. Nemoto and H. Ohashi: "Morphology and variation of cleistogamous flowers in Lespedeza tomentosa(Thunb.)Siebold ex Maxim. (Leguminosae)in relation to variation in inflorescence from" The Journal of Japanese Botany. 72・6. 315-328 (1997)
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[Publications] Y. Endo and H. Ohashi: "Features of cotyledon areoles in Leguminosae." American Journal of Botany. 85(in press). (1998)