1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07041129
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
矢原 徹一 九州大学, 理学部, 教授 (90158048)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OYAMA Ken メキシコ国立自治大学, 生態学センター, 準教授
副島 顕子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (00244674)
渡辺 邦秋 神戸大学, 理学部, 教授 (80031376)
|
Keywords | ステビア属 / 分子系統 / matK / ITS / 染色体数 / 有性生殖 / 無性生殖 |
Research Abstract |
7月にチアパス州など、10月にはチワワ州・デュランゴ州などでの現地調査を実施した。この調査によって得られた資料をこれまでに得た資料に加え、メキシコ産ステビア属約100種のほぼ8割が入手できた。これらについての染色体数の調査から、木本性の種ではn=12だが、多年草の種ではn=11とn=12があり、S.origanoidesなどいくつかの種ではn=11とn=12の種内多型があることがわかった。さらに1年草の種では、n=11にく和絵、n=4(S.ephemera)が発見された。この事実は、1年草では染色体の減数が起きやすいという仮説を裏付けるものである。 生殖システムに関する調査の結果、木と1年草では2倍体有性生殖のみが見い出された。一方、多年草では3倍体などの倍数体が広く見い出され、無性生殖が繰り返し進化していることを示唆した。有性生殖を行う1年草では自家受粉による種子繁殖が行われている。 matKを用いた系統推定では、ステビア属内の系統関係に関する十分な情報は得られなかったが、Carphocaete属(n=12)がステビア属の外群であり、n=12が祖先的染色体数であることが示された。ステビア属内種間の系統推定を行うために、ITSの配列決定を行った。その結果、木本性の群(n=12)が最初に分岐し、続いて多年草の2つの群が分岐することが示された。多年草の2つの群は染色体数とは対応せず、n=11は平行的に進化したものと考えられる。また、無性生殖はどちらの群にも見られ、やはり平行的に進化したと考えられる。1年草の位置については正確な推定ができなかった。1年草では分子進化速度が早まり、その結果系統推定にバイアスが生じている可能性が示唆された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 矢原徹一: "性の進化のパラドックスはどこまで解けたか" 種生物学研究. 20. 67-80 (1997)
-
[Publications] Funayama,T.et al.: "Effects of virus infection and growth irradiance of fitness components and photosynthetic properties of Eupatorium makinoi (Compositae)." Amer.J.Bot.84(in press). (1997)
-
[Publications] Ooi,K.et al.: "Molecular phylogeny of geminivirus infecting wild plants in Japan." J.Pl.Res.110(in press). (1997)
-
[Publications] Konumra,A.et al.: "Temporally changing male reproductive success and resource allocation strategy in protandrous Helacleum lanatum (Apiaceae)." J.Pl.Res.110(in press). (1997)
-
[Publications] Watanabe,K.et al.: "Chromosome unmber determinations in the Australian Astereae (Asteraceae)." Muelleria. 9. 197-228 (1996)
-
[Publications] Yahara,T.et al.: "A new species of Stevia from Mexico." Phytologia. 79. 35-37 (1996)
-
[Publications] 鷲谷いづみ・矢原徹一: "保全生態学入門" 文一総合出版, 270 (1997)