1997 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーを主とする西アフリカ生息霊長類の比較行動・生態学的研究
Project/Area Number |
07041135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 幸丸 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20025349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MASAWE Edeus タンザニア共和国, マハレ野生動物研究所, 所長(研究職)
KOMAN Jeremy ギニア共和国, ニンバ山研究所, 所長(研究職)
山越 言 京都大学, 理学研究科・日本学術振興会, PD特別研究員
横田 直人 大分短期大学, 園芸科, 講師 (30158365)
松沢 哲郎 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (60111986)
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Keywords | シロアリ釣り / 道具使用行動 / 季節変化 / 移出入 / 社会構造 / 地域変位 |
Research Abstract |
1.ギニア国ボッソウのチンパンジー調査地の行動域を精密測量し、基本となる地図を作製した。一方、この行動域内の植物相と主たる食物樹の果季と果実量を調べ、季節による生息地の食物供給量とチンパンジーの道具使用行動の季節性を調べた。その結果、食物の少ない季節の頻繁な道具使用によって、それなくしては得られない食物の獲得に成功していることが明らかになりつつある。 2.チンパンジーの道具使用については特に念入りな調査を続けているが、今回、新たにシロアリ釣りが発見された。シロアリ釣りは、これまで西アフリカでは稀にしか発見されていない行動である。これで、シロアリ釣りが東アフリカだけのものでなく、チンパンジーに広く見られる道具使用である可能性が高まった。 3.シロアリ釣りはYoと名付けられた成熟雌だけで、他の道具使用行動からも、他地域から移入してきた個体である可能性がある。逆に言えば、他のすべての雌は他地域の道具使用文化を持っていない、つまり、ボッソウで生まれ育った可能性が強まった。 4.他のすべての個体群パラメータと合わせても、ボッソウでは、雄も雌も一部が移籍し残りは出生群に止まることが示唆されている。これは、東アフリカのデータから示唆されてきた祉会構造とは異なる変異であり、チンパンジーの祉会構造の幅の広さを示すものである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Sugiyama, Y.: "Social tradition and the use of tool-composites by wild chimpanzees." Evolutionary Anthropology. 6(1). 23-27 (1997)
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[Publications] 杉山 幸丸: "霊長類の昆虫食" インセクタリュウム. 34(11). 344-348 (1997)
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[Publications] Inoue-Nakamura, N.& Matsuzawa, T.: "DeveloPment of stone tool-use by wild chimpanzees(Pan troglodytes)." Journal of Comparative Psychology. 111. 159-173 (1997)
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[Publications] Matsuzawa, T., Kojima, S.&Shinohara, S.: "Editorial:A brief note on the backgouund of the study of cognition and behavior of chimpanzees by Japanese researchers." Japanese Psychological Research. 39(3). 133-139 (1997)
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[Publications] Iversen, I.&Matsuzawa, T.: "Model-guided line drawing in the chimpanzee(Pan troglodytes)." JaPanese Psychological Research. 39(3). 154-181 (1997)
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[Publications] Hirata, S., Myowa, M.&Matsuzawa, T.: "Use of leaves as cushions to sit on wet ground by wild chimpanzees."
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[Publications] America Journal of Primatology. 44(2). 215-220 (1998)