1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07044028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 正寛 (奥野 正寛) 東京大学, 経済学部, 教授 (40114988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 公紀 ノースウェスタン大学, 経済学部, 準教授
青木 昌彦 スタンフォード大学, 経済学部, 教授
MAILATH Geor ペンシルヴァニア大学, 経済学部, 準教授
LAGUNOFF Rog ヴァージニア工科州立大学, 経済学部, 助教授
POSTLEWAITE アンドリュー ペンシルヴァニア大学, 経済学部, 教授
松島 斉 東京大学, 経済学部, 助教授 (00209545)
松井 彰彦 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (30272165)
神取 道宏 東京大学, 経済学部, 助教授 (10242132)
金子 守 筑波大学, 社会工学系, 教授 (40114061)
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Keywords | 限定合理性 / 社会制度 / 社会規範 / 進化論 |
Research Abstract |
本年度は初年度でありながら非常に有意義な1年であった。これを活動及びそこで得られた成果に分けながら述べることとする。大きな活動としては3つあげられる。第1は相手側研究分担者及び協力者が8月に訪日し、問題点を議論したことである。これにより、限定合理性と社会規範及び社会制度との関連が明らかになった。超合理的な経済主体を考えていたのでは問題の解決にはいたらないということを具体的に示せたことは非常に興味深い点である。第2は日本側分担者の松井が米国に9月初冬より3ヶ月滞在したことである。この間、相手側研究分担者と交流し、日本側の考えを伝えることで、問題に対する理解が一層深まった。この間の議論はさらに第3のスタンフォード大学で行った国際会議の叩き台を提供することとなった。2月に開催されたこの会議では非常に活発な意見交換がなされ、次回は限定合理性をテーマとした国際会議を(日本側の旅費を除き)相手側の研究基金を用いて開催することで合意がなされた。 これらの交流を通じ、両国で別個にあるいは共同研究として多数の論文の執筆及び研究の開始が促された。研究代表者及び分担者による関連論文は現在指数関数的に伸びつつあり、その一層の成果が約束されている。 以下に最近(相手側も含めて)我々によって始められた研究の一端を紹介しておく。1つは従来の超合理的主体でもなく生物学的進化論で用いられる機械的な主体でもない、思考はするものの全てを見通すことはできない限定合理的な主体からなる社会における規範の確率の問題を論じたもの。いま1つは個々人の行動は非合理なほど協力的でありながら、組織が生き残る確率が高いために社会全体ではその協力行動が持続していくというもの。この理論は進化の単位が遺伝子なのか個人なのか組織なのかという問いに対し、一石を投じることとなるだろう。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 奥野(藤原)正寛: "文化の接触と進化" 経済研究. 46. 97-114 (1995)
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[Publications] Masahiro Okuno-Fujiwara: "Social Norms in Matching Games" Games and Economic Behavior. 9. 79-109 (1995)
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[Publications] Michihiro Kandori: "Evolution of Equilibria in the Long Run:A General Theory and Applications" Journal of Economic Theory. 65. 383-414 (1995)
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[Publications] Akihiko Matsui: "An Approach to Equilibrium Selection" Journal of Economic Theory. 65. 415-434 (1995)
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[Publications] 松島 斉: "A-Mメカニズム・デザインの合理性" 経済研究. 47. 1-15 (1996)
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[Publications] Andrew Postlewaite: "Response to'Aristocratic Equilibrium'" Journal of Political Economy. (in press).