1996 Fiscal Year Annual Research Report
国際的特許紛争処理手続の調和のための実証的総合研究
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07044040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北川 俊光 九州大学, 法学部, 教授 (60253382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOUFANG Rain ミュンヘンマックスプランク研究所, 知的財産研究所, 主任研究員
竹中 俊子 ワシントン大学ロースクール, 知的財産権研究センター, 助教授
HALEY John O ワシントン大学ロースクール, アジア法センター, 教授
CHISUM Donal ワシントン大学ロースクール, 知的財産権研究センター, 教授
熊谷 健一 九州大学, 法学部, 助教授 (20264004)
柳原 正治 九州大学, 法学部, 教授 (60143731)
河野 俊行 九州大学, 法学部, 教授 (80186626)
井上 治典 立教大学, 法学部, 教授 (40068127)
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Keywords | 特許紛争処理 / WIPO / 仲裁手続 / 高額の賠償 / 訴訟費用自体 / 国際知的所有権裁判所 / 必要的前置手続 / 手続利用のための要件整備 |
Research Abstract |
今年度は、ヨーロッパにおける特許紛争処理の実態調査のため、ジュネ-ブのWIPOを主たる訪問先とする調査旅行を行った。また、それを基礎として、米国ドイツからの研究者、韓国からの実務家をまじえた検討のための集中的な意見交換の機会をもつこともできた。その結果として国際的特許紛争を調和的に解決するための手法整備に重要なポイントとしては、以下の点が指摘できるのではないか、と思われるに至った。すなわち第一に仲裁手続は、その機能を発揮できる場面が、当事者双方が紛争を平和裡に解決したいと考える場合に限定され、特に特許権侵害を主張する側が、高額の賠償を求める際には、機能しないことがありうること、第二に訴訟手続を利用する際には、特許権をとりまく様々のノウハウ等、当事者が開示を欲しない点がネックとなる可能性があること、第三に訴訟費用自体の高額化が問題化していることがそれである。そこで考えられる方策の一つとして、仲裁手続を必要的前置手続とした上で、その上級審としての国際知的所有権裁判所を設置することが考えられる。ただ乱訴の結果、手続が疲弊してしまうことがありうるため、手続利用のための用件整備が重要となる。この点の検討の一部はすることができたが、技術的な面、特に弁護士制度などの相違のため、多くは将来の課題とせざるをえなかった。ただ、賠償額で制限することと、原告適格としてなんらかの国家的色彩をおびたものに限るか、あるいは加盟国のレベルでそれをチェックする国内レベルでの網をかぶせる方法がありうるという確認をした。
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