1996 Fiscal Year Annual Research Report
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07044088
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 卓 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20243157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有坂 勝史 カルフォルニア大学ロサンゼルス校, 物理学科, 助教授
TSCHIRHART B フェルミ研究所, 物理部, 研究員
WINSTEIN Bru シカゴ大学, 物理学科, 教授
貞本 雅祥 大阪大学, 大学院・理学研究科, 学振特別研究員
花垣 和則 大阪大学, 大学院・理学研究科, 学振特別研究員
原 隆宣 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70283827)
羽澄 昌史 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20263197)
瀧田 正人 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20202161)
長島 順清 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90044768)
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Keywords | 弱い相互作用 / CP非保存 / 対称性の破れ / K中間子 / 稀崩壊 / CsIカロリメータ / データ収集システム / シリコンストップ検出器 |
Research Abstract |
1.K中間子を用いたCP非保存の実験 まず、8月までE799/E832の準備を行った。このうち、特にCsIカロリメータの結晶の積み上げ、カロリメータの中心部に取り付けるγ線検出器の組み込み、超高速データ収集装置の仕上げ、γ線検出器のノイズ対策と稼働、等を行った。 8月末に初めて中性Kビームを出した。超高速データ収集装置を用いてビームの位置と形をオンラインで求め、ビームが設計通りであることを確かめた。また、不用な粒子の少ない、非常にきれいなビームラインであることがわかった。その後10月までかけて各種測定器の修理とチューニングを行った。 10月末よりまずE832実験を開始した。これは、K_L、K_Sがそれぞれπ^0π^0、π^+π^-に崩壊する4つの分岐比に比を精密測定する事により、直接的なCPの非保存の有無を調べる実験である。各測定器とも予定通りのエネルギー分解能等を得た。崩壊の収集量もほぼ予定通りであった。また、超高速データ収集システムのおかげで、4つの崩壊を再構成したKの普遍質量分布を初め、様々な物理量、測定器の状態をモニターするグラフなどが一目でわかるように表示され、問題発生から1分以内にそれを知ることができた。 12月の半ばには4日間かけてもう一つの実験E799のトリガーの試験を行った。この結果、予測していたレートよりもはるかに低いレートであることがわかった。また、K_L→π^0υυのための特別のデータ収集を1日行った。 12月末から1月半ばまでかけて、CsIカロリメータの読み出し回路の改良、真空と大気の間を切る大きな膜の取り替え、各種測定器の修理、実験の切替えを行った。特にカロリメータの回路は1995年で不調だったLSIのチップを約1100個取り替えるという作業を短時間で行った。このため、カロリメータを設計通りの速さで読み出すことができるようになった。 1月半ばよりもう一つの実験、E799を開始した。山中はこの実験の責任者である。これはK_Lの稀崩壊を用いてCP非保存を探る実験であり、その他にも約十数種類の稀崩壊を観測・探索する事ができる。この実験では当初ビームの大きさをE832の場合の1.8倍にする予定であったが、カロリメータへの放射線量が予測よりも3倍以上高かったため、E832と同じビームの大きさに急遽戻した。しかし、E799はビームを得てから1週間以内で物理のデータ収集に入った。高いビーム強度とそれに耐える測定器、データ収集システムのおかげで、約1週間でほとんどの崩壊について現存の世界記録の感度を越えることができた。現在順調にデータ収集を続けており、まず3月末まで走る。 4月からはまたE832に切り替えて夏までデータ収集を行い、その後またE799に切り替えて9月半ばまで走る予定である。 実験の解析はまだ始まった所である。いくつかの崩壊については暫定的な結果が1996年末までに出せる予定である。既に、12月半ばに1日取った特別なデータから、K_L→π^0υυの分岐比の上限値を30倍下げる新たな結果が得られ、2月にサンタモニカで開かれた国際会議で発表した。また、前回行った実験の結果をいくつか論文発表した。 2.新しいCP非保存のための測定器開発 B中間子を用いたCP非保存の実験のため、シリコンストリップを用いた超高精度の位置検出器を開発した。コンピュータシミュレーションを用いた検出器の設計・評価を行った。また赤外レーザーを用いた試験装置も開発した。更に、各種の試作品を試験、比較した結果最終的な設計を選び、まもなく大量生産に入る。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] B.Schwingenheuer,et al.: "CPT Tests in the Neutral Kaon System" Phys.Rev.Lett.74. 4376-4379 (1995)
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[Publications] M.B.Spencer,et al.: "Measurement of the Branching Ratio and Form-Factor of K_L→μ_+μ_-γ" Phys.Rev.Lett.74. 3323-3326 (1995)
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[Publications] J.N.Matthews,et al.: "New Measurement of the CP-Violation Parameter η+-γ" Phys.Rev.Lett.75. 2803-2807 (1995)
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[Publications] P.Gu,et al.: "First Evidence for the Decay K_L→eeμμ" Phys.Rev.Lett.76. 4312-4315 (1996)