1995 Fiscal Year Annual Research Report
BBTM湖(琵琶湖・バイカル湖・タンガニイカ湖・マラウィ湖)生態系における生物多様性促進機構の比較研究
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07044194
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川那部 浩哉 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (60025286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
デリコフ S. ロシア科学アカデミー陸水研究所, 室長
ボルチェノフ A. ロシア科学アカデミー陸水研究所, 主任研究員
ティモシュキン O. ロシア科学アカデミー陸水研究所, 主任研究員
カマルティノフ R. ロシア科学アカデミー陸水研究所, 主任研究員
シデレヴァ V. セントペトルスブルグ大学, 教授
グラチェフ M. ロシア科学アカデミー陸水研究所, 所長
アリモソ S. マラウィ水産研究所, 所長
ミリンディ G. ザンビア水産研究所, 主任研究員
ションボ M ザイール国立陸水研究所, 所長
中井 克樹 滋賀県琵琶湖博物館開設準備室, 学芸技師
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
成田 哲也 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (40025440)
遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80240828)
竹門 康弘 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (50222104)
谷田 一三 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20167505)
名越 誠 奈良女子大学, 理学部, 教授 (40024822)
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Keywords | 琵琶湖 / バイカル湖 / タンガニイカ湖 / マラウィ湖 / 生物群集 / 生物多様性 / 種間ネットワーク構造 |
Research Abstract |
BBTM湖生態系は、固有種の豊富な淡水の系である。これらの湖生態系では、タンガニイカ湖魚類群集において明らかにされつつあるように、ある側面において競争的な関係にある種類どうしが、共存している場においては協調的な関係をもつために、一層多様な生物群集が成立していることが予想されるている。本申請研究の目的は、これら歴史の古い湖における生物群集について現地調査による比較検討を行い、それぞれの湖生態系に固有の環境ならびに生物群の特徴にもとづく、多様な生物群集の成立を促進させてきた生態学的機構を浮き彫りにすることにある。 平成7年度は、これらタンガニイカ湖、マラウィ湖、バイカル湖、および琵琶湖において、現地研究者(あるいは外国人研究者)と共同調査ならびに研究討議を行った。タンガニイカ湖では、南部のムプルング(ザンビア国)を拠点とし、シクリッド魚類の繁殖様式を繁殖場所の基質の形状・散在様式と関連させて現地調査を行った。また、これまで日本との国際共同が進められていなかったマラウィ湖では、マラウィ大学や水産研究所の現地研究者と今後の共同研究の進め方に関す研究討議を行い、一方で予備的な水中観察を行い、マラウィ湖はタンガニイカ湖とはかなり異なった魚類群集構造をもっていることを確かめ、詳細な比較調査のための共同研究が必要であると判断した。バイカル湖ではイルク-ツク(ロシア)を拠点に、琵琶湖では大津を拠点にし、現地調査ならびに研究討議を行い、魚類や底生動物などの群集の種構成からみた生物多様性のなりたちと種間のネットワーク構造からみた生物多様性との関係を比較解析するために、食物連鎖の上位のものの存在様式に注目するよう視点を定めた。
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[Publications] Kawanabe, H.: "Linkage between ecological complexity and biodiversity." Biodiversity, Science and Development (ed. di Castri & Younes) CAB International, UK.149-152 (1995)
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[Publications] Kohda, M. & Tanida,M.: "Overlapping territory of the benthoplagus cichlid fish, Lobochilotes labiatus, in Lake Tanganyika." Env. Biol. Fishes. 45. 13-20 (1996)
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[Publications] Seno, H. & Nakai, K.: "Mathematical analysis on fish shoaling by a density-dependent diffusion model." Ecological Modelling. 79. 149-157 (1995)
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[Publications] 柳沢康信・遊磨正秀・川那部浩哉: "タンガニイカ湖の魚類を中心とする生物群集の多様性." 学術月報. 48. 47-53 (1995)
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[Publications] 遊磨正秀・嘉田由起子・藤岡康弘: "水辺の生物相と遊びの時代変遷" 環境システム研究. 23. 20-31 (1995)
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[Publications] 中井克樹: "日本に侵入したカワヒバリガイ,発見の経緯とその素性" 関西自然保護機構会報. 17. 49-56 (1995)
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[Publications] 川那部浩哉: "生物界における共生と多様性" 人文書院, 207 (1996)
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[Publications] 川那部浩哉: "曖昧の生態学" 農山漁村文化協会, 230 (1996)