1995 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の微小重力環境下でのタンパク質結晶化と結晶化容器の開発
Project/Area Number |
07044198
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
相原 茂夫 京都大学, 食糧科学研究所, 助教授 (20027197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DELUCAS Lawr アラバマ大学, バーミンガム校・巨大分子結晶解析センター, 教授(センター長)
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Keywords | 微小重力 / 分子パッキング / リゾチーム / 結晶成長 / X線結晶構造解析 / スペースシャトル / 蒸気拡散法 / 結晶化容器 |
Research Abstract |
宇宙の微小重力環境を利用してハンギングドロップによる上記拡散法で良質のタンパク質単結晶を調製し、地上で得られる結晶と比較すること、そして、結晶化容器(フライトモデル)の開発を目的として本研究を行った。本年度はスペースシャトルを利用して2回の宇宙実験を実施した。ニワトリ卵白リゾチームについて2つの異なる結晶化条件で結晶化を行い、正方晶の条件では1種類、また、単斜晶の条件では2種類の形の異なる単結晶と斜方晶の単結晶を得ることができた。 本年度の実験結果から得られた結論として、 1.3種類の単結晶(単斜晶、斜方晶、正方晶)を得た。 結晶構造解析によって結晶の分子配列を解析した結果、宇宙で晶出した結晶の分子配列は地上でも晶出し、報告例があった。 2.結晶核生成時のタンパク質分子の挙動が地上とは異なっていることを示唆する結果を得た。 単斜晶の結晶化条件からは3種類の異なる結晶が晶出したのであるが、地上の結晶はいずれも異なる結晶化条件から晶出したもので、結晶核生成に際し、微小重力下ではタンパク分子表面の物理的特性が結晶核の種類を決定する因子となっていることが推測される。一方、正方晶の場合は、分子配列で両者を区別することができず、結晶の種類も1種類で合ったことから宇宙においても比較的安定な結晶核が生成されることが判明した。 3.結晶化容器の開発については透析法に基づく装置の設計を行った。 当初の計画ではモックアップモデルを試作する予定であったが、本年度は設計段階での試行錯誤に留まった。また、フライトモデルの製作は金額的に不可能であるため断念した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shigeo AIBARA: "Crystallization of wheat γ‐gliadin under a microgravity environment using a space staion MIR" Journal of Crystal Growth. 155. 247-253 (1995)
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[Publications] 相原茂夫: "微小重力とタンパク質の結晶化" 学術月報. 48. 51-56 (1995)
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[Publications] Lawrence J. DeLucas et al.: "Structure of porcine aldehyde reductase holoemzyme" Nature, Structural Biology. 2. 687-692 (1995)
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[Publications] 相原茂夫 他: "新・酵素化学入門" 共立出版, 351 (1995)