1996 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質の立体構造形成反応の分子機構に関する共同研究
Project/Area Number |
07044200
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40153770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬川 新一 関西学院大学, 理学部, 教授 (70103132)
桑島 邦博 東京大学, 大学院理学系, 助教授 (70091444)
河田 康志 鳥取大学, 工学部, 助教授 (40177697)
片岡 幹雄 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30150254)
CHAN Hue Sun カリフォルニア大学, 薬学部, 助教授
FINK A.L. カリフォルニア大学, 化学生化学部, 教授
DOBSON C.M. オックスフォード大学, 化学部, 教授
DILL Ken A カリフォルニア大学, 薬学部, 教授
KIM P.S. マサチューセッツ工科大学, 生物部, 教授
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Keywords | 蛋白質 / 変性 / フォールディング反応 / X線溶液散乱 / 分子シャペロン / モルテン・グロビュール / 円二色性 / βラクトグロブリン |
Research Abstract |
本研究では、蛋白質の立体構造形成反応に関して独創的な研究を展開しているKim教授を中心として、さらに数名の著名な国外研究分担者を加え、多面的かつ相補的な共同研究を実施した。各自が独自の手法で研究を行なうと共に、相互訪問を行い、次の成果を得た。 1.モルテングロビュール(MG)状態の構造と安定化機構を、X線溶液散乱をはじめとする物理化学的手法を用いて研究した。その結果、現在、MGと呼ばれる構造は3種類に分類できることを示した。1)シトクロムcに代表されるMGでは、分子の慣性半径は30%程度も増加しているが、全体としては球状である。2)アポミオグロビンに代表されるMGは、コアの領域とほどけた領域の2つから構成される。3)αラクトアルブミンに代表されるMGでは、ジスルフィド結合によって分子の慣性半径はネイティブ構造に比べて10%程度しか増加しておらず、球状性も保たれている。以上より、従来MGとしてまとめて取り扱われていたものの実態は、お互い、かなり異なることが明らかとなった。 2.β-ラクトグロブリンのフォールディング反応の途中で観測されたαヘリックス中間体が、平衡論的な変性反応の途中にも蓄積することを示した。熱力学的に安定なαヘリックス中間体を用いて、より詳細な構造解析が可能となることが期待される。 3.分子シャペロンの作用機構を明らかにすることは、蛋白質のフォールディング反応研究の重要な課題である。シトクロムcのいくつかの構造状態を用いて、大腸菌の分子シャペロンGroELの基質認識機構を研究した。その結果、GroELは、基質蛋白質がもつ水に露出した疎水性クラスターを認識して結合すること、また、その結合力は、静電的相互作用によって大きく影響されることを示した。 4.後藤は本研究の成果発表と討論を行なうため中国、米国を訪問した。米国では研究分担者であるFink教授と討論を行なった。瀬川は英国を訪問し、研究分担者であるDobson教授と討論を行った。片岡は、フランスを訪問し中性子準弾性・非弾性に関する研究を行った。Chan助教授、Dobson教授が来日して、研究分担者と有益な研究討論を行った。なお、Dobson教授の招聘は他の研究補助金により行われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kataoka,Mikio: "X-ray solution scattering studies of protein folding" Folding & Design. 1. R107-R114 (1996)
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[Publications] Kataoka,Mikio: "Structureal characterization of molten globule of α-lactalbumin by solution X-ray scattering" Protein Sci.6. 422-430 (1997)
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[Publications] Hoshino,Masaru: "Interaction of GroEL with conformational state of horse cytochrome c" J.Mol.Biol.262. 575-587 (1996)
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[Publications] Hirota,Nami: "Cooperative α-helix formation of β-lactoglobulin and melittin induced by hexafluoroisopropanol" Protein Sci.6. 416-421 (1997)
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[Publications] Hamada,Daizo: "Non-native α-helical intermediate in the refolding of β-lactoglobulin,a predominantly β-sheet protein" Nature Struct.Biol.3. 868-873 (1996)
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[Publications] Semisotnov,G.V.: "Protein globularization during folding.A study by synchrotron small-angle X-ray scattering" J.Mol.Biol.262. 559-574 (1196)