1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ脊髄に生ずる異なる種類の神経細胞死に関する生物学的研究
Project/Area Number |
07044221
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Research Institution | UNIVERSITY OF TSUKUBA |
Principal Investigator |
岡戸 信男 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50060140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOENOU Lucia ウェイクホレスト大学, 医学部, 講師
OPPENHEIM Ro ウェイクホレスト大学, 医学部, 教授
浜田 俊 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60282349)
志賀 隆 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (50178860)
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Keywords | Cell death / Spinal cord / Monoamine / Synapse |
Research Abstract |
PKUモデル動物の精神遅滞発症機構にシナプス密度の低下による神経細胞死が発生するかを確かめるために本研究を行った。またシナプス形成に介在する5HTとNA受容体の神経細胞死への関与も検討した。 以下の薬量は体重1kg当たりで示す。対照群には生理的食塩水を投与した。生後1週のマウスにモノアミンの非選択的除去薬であるレセルピンを投与して、灌流固定を行った。生後1、2、3週のマウスに以下に述べる薬物の投与を行った。5HTを除去するためpCPA、またはNA神経毒であるDSP-4を単独で、又は両者を投与した。5HTのシナプス形成促進作用を介在する5HT2A受容体の拮抗薬ketanserinをまたはNAによるシナプス形成促進作用に介在するα1受容体の拮抗薬であるHEATをそれぞれ単独又は両方を投与した。各薬物投与から2日後に動物を灌流固定して脳を取り出した。大脳をTUNEL法でDNA断片化を指標にアポトーシス細胞の出現頻度を定量化した。 レセルピンの投与後2日でTUNEL陽性細胞が吻尾方向に平均して対照群の15倍、最も高頻度に出現した。生後0日と3週でpCPAまたはDSP-4を単独で投与した例では対照群に比べTUNEL陽性細胞の出現率に差はなかった。生後1週でpCPAまたはDSP-4投与によりTUNEL陽性細胞は対照群に比べ5倍多く、両者の投与では出現率は相加的になった。生後1週でketanserinまたはHEATを投与した例ではTUNEL陽性細胞は有意に増加したが、両者の投与で相加的にはならなかった。 5HTとNAによるシナプス形成維持機構の破綻が精神遅滞の発症機構を考える上で重要であることが考えられるが、さらにシナプス密度の低下による神経賦活因子の授受が低下して神経細胞の生存が脅かされる可能性が確かめられた。またこのモノアミン欠乏性神経細胞死には生後1週齢に多く生ずる臨界例のあることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsukawa, M., Ogawa, M., Nakadate, K et al: "Serotown and acetylcholine are crucial to Maintai hippocampal synapses and memory acquisition in rats" Neuroscience Letters. 230. 13-16 (1997)
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[Publications] Chen, L., Hamaguchi, K. S. Hamada & Okade, N.: "Regional differences of serotown-mediated syneptic plasticity in the chicken spiralcord with development and aging" Journal of Neuronal Transplantation and Plesticity. 6. 1. 41-48 (1997)
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[Publications] Hamada, S., Senzeki, K., Hamaguchi-Hamada, K. et al: "Localization of 5-HT2A reseptor in rat cerebral cortex and olfactory system revealed by immunohistochemistry" Molecular Brain Research. 54. 199-221 (1998)
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[Publications] 岡戸 信男.林 明日香.首籐 文洋: "精神遅滞・学習障害の成因と修復に関する生物学的研究を可能にする生体アミンによるシナプスの形成維持機構" 脳の科学. 20.1. 149-154 (1998)