1995 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体の細胞内情報伝達機構と調節に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
07044247
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 重忠 京都大学, 医学研究科, 教授 (20089105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森吉 弘毅 京都大学, 医学研究科, 助手 (50263091)
別所 康全 京都大学, 医学研究科, 助手 (70261253)
影山 龍一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80224369)
CARON Marc G デューク大学, 医学センター・ハワードヒューズ医学研究所, 教授
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Keywords | グルタミン酸受容体 / 細胞内情報伝達系 / 酵母2‐バイブリッド法 / NMDA受容体 / カルモデュリン / 蛋白‐蛋白相互作用 / Ca^<2+>情報伝達系 |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体は、記憶・学習、神経ネットワークの形成、神経細胞死を制御する重要な受容体である。我々は、3種類存在するグルタミン酸受容体の中で、NMDA受容体及びメタボトロピッチ受容体(mGluR)を初めてクローン化することに成功し、それぞれの受容体が分子多様性を示すことを明らかにした。本研究は、細胞内情報伝達の調節機構の研究で、第一線の研究者であるCaron博士との共同研究のもとにグルタミン酸受容体の細胞内情報伝達系とその調節機構を明らかにすることである。NMDA受容体とAMPA受容体は、イオン・チャンネルを内在しイオンを透過し、一方mGluRはG蛋白を介してセカンド・メッセンジャーを制御し、それぞれ機能を発現することが明らかにされている。本研究ではグルタミン酸受容体を介した細胞内情報伝達系とその調節の多様性を明らかにするために、Caron博士のところから特別研究員として来日しているNash博士の共同研究を含め、酵母2‐ハイブリッド系を用い種々のグルタミン酸受容体の細胞内ドメインと相互作用を示す細胞内蛋白の単離と同定の研究を進めた。その結果、本年度の研究で得られた主要な成果をまとめると、1)NMDA受容体NR1サブユニットはカルモデュリンと結合していること、即ち本受容体は、Ca^<2+>を透過するとカルモデュリンをただちに活性化し、NMDA受容体の活性を調節していること、2)AMPA受容体でCa^<2+>を透過できるGluR2は、シナプス前に存在し、シナプス顆粒の輸送に関わるNSF蛋白と結合すること、3)Ca^<2+>/IP_3に共役するmGluR1とmGluR5の保存度の高い部位に結合する結合蛋白が存在すること(現在本蛋白の機能を解析中)を明らかにした。以上の結果はグルタミン酸受容体が、蛋白‐蛋白相互作用を介してより多様な細胞内情報伝達系と共役していることを強く示唆するものであり、この成果に基づきその生理的意味の解析を進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shigetada Nakanishi, et al.: "Second‐order neurons and receptor mechanisms in visual and olfactory information processing." Trends in Neuroscience. 18. 359-364 (1995)
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[Publications] Masayuki Masu, et al.: "Specific deficit of the ON response in visual transmission by targeted disruption of the mGluR6 gene." Cell. 80. 757-765 (1995)
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[Publications] Mineto Yokoi, et al.: "Refinement of odor molecule tuning by dendrodendritic synaptic inhibition in the olfactory bulb." Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 92. 3371-3375 (1995)
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[Publications] Yoshihito Tokita, et al.: "Characterization of excitatory amino acid neurotoxicity in N‐methyl‐D‐aspartate receptor‐deficient mouse cortical neuronal cells." European Journal of Neuroscience. 8. 69-78 (1996)
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[Publications] Koki Moriyoshi, et al.: "Labeling neural cells using adenoviral gene transfer of membrane‐targeted GFP." Neuron. 16. 255‐260 (1996)
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[Publications] Naohiro Sekiyama, et al.: "Structure‐activity relationships of new agonists and antagonists of different metabotropic glutamate receptor subtypes." British Journal of Pharmacology. (in press). (1996)