1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07045007
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
紺谷 浩司 広島大学, 法学部, 教授 (00033738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CONNAR Aliso ハワイ大学, ロー・スクール, 助教授
HENCH Virgin ハワイ大学, ロー・スクール, 助教授
YAMAMOTO Eri ハワイ大学, ロー・スクール, 教授
MILLER Richa ハワイ大学, ロー・スクール, 名誉教授
江頭 大藏 広島大学, 法学部, 助教授 (90193987)
岡本 友子 広島大学, 法学部, 助教授 (90233379)
片木 晴彦 広島大学, 法学部, 助教授 (70177393)
田邊 誠 広島大学, 法学部, 教授 (40197512)
甲斐 克則 広島大学, 法学部, 教授 (80233641)
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Keywords | ハワイ州 / 司法制度 / 陪審裁判 / アメリカ司法手続 |
Research Abstract |
本研究の今年度の目的は、日米における司法制度の構造や法制度の相違が裁判内外の紛争解決の行動パターンにどのような影響を与えるかを探ることにあった。日米の司法制度の最も大きな差異はいうまでもなくアメリカにおける陪審制度の存在であろう。本年度の研究では、ハワイ州巡回裁判所(ホノルル地区)の全面協力を得て、同裁判所の現職裁判官より陪審制度をはじめとするアメリカの裁判手続一般についての説明を受け、さらに、現実に行われた性的暴力事件について、陪審員の選任手続から始まり、審理から最終の評決に至るまで、実地に見学しながら、後にその内容について意見を交わすことにより、陪審裁判についての理解を大きく深めることができた。 陪審裁判の中で特に注目されるべきものは、裁判官の役割であろう。事実認定を陪審員がなす陪審裁判においては、裁判官は訴訟の結果の判断者ではなく、訴訟の進行の公正を担保する。しかし、このことは裁判官の役割と地位を決して軽減するものではなく、むしろ、裁判官は、素人である陪審員が当該事件について、不当な偏見を審理中に得ることなく最終的な評決に至るように、適切かつ積極的な訴訟指揮が期待されるのである。そしてかかる役割を裁判官が果たすことを保証するために、裁判官に絶対的権威と強い権限が与えられている。 わが国においても陪審制の導入の是非について論議がなされていることは、周知の通りであるが、この場合に、陪審員の判断の適正が担保されるためには、裁判官の訴訟進行のあり方、さらには事件の報道のあり方にについても、慎重な検討が必要になるかもしれない。日本の訴訟手続では通常意識されないような観点について、現実の審理を通じて理解を深めることができたのは、今年度の調査の大きな収穫である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 紺谷浩司: "ハワイ州の裁判所付設仲裁計画最終報告" 広島法学. 19. 199-212 (1995)
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[Publications] 岡本友子: "日米における未成年者の生命侵害に基く賠償論" 日米交通法学会『人身賠償・補償研究』第3巻. 3. 79-95 (1995)
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[Publications] 甲斐克則・紺谷浩司監修: "国民の司法参加と司法改革" 成文堂, (1996)
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[Publications] 畑博行・紺谷浩司監訳: "ハワイ-楽園の代償" 有信堂, 248 (1995)