1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07101001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂野 仁 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90262154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 昭夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20163868)
名川 文清 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (10241233)
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Keywords | 免疫グロブリン遺伝子 / V(D)J組み換え / 組み換えシグナル配列 / リコンビナーゼ / リンパ細胞の分化 / 組み換え制御因子 / トランスジェニックマウス / 臭覚受容体遺伝子 |
Research Abstract |
抗原受容体遺伝子系におけるV(D)J組み換えの分子機構については、本年度次の様な成果が得られた。 1) DNA湾曲夕ンパク質HMGlが、2つの組み換え基質12-RSSと23-RSSの内、23-RSSの正しい位置での切断に必須である事が示された。23-RSSはHMGlが存在しないと、あたかも12-RSSの様に切断されてしまう。 2) HMGlタンパク質を加える事により、初めて試験管内でl2/23組み換えルールを満たす条件下での、RAGタンパク質による協調的二重鎖切断が示された。 3) 磁気ビーズ法により、切断反応後の12-RSSと23-RSSを共に含むRAGタンパク質との高次複合体が初めて精製され、7mer配列がこの複合体形成に重要な役割を果たしている事が示された。 4) 12/23ルールを満たす条件下のRSS基質とRAGタンパク質との複合体では、意外なことに切断された7merの3′端がリン酸化される事が確認された。この修飾は、切断産物がトランスポーズすることを抑止しているものと考えられ、V(D)J組み換&がトランスポゾンの組み換え反応と袂を分かった分岐点として注目される。これらの成果は現在、Nagawa,F.et al.とYoshida,T.et al.として投稿中である。 V(D)J組み換えの制御については、以前3′-enhancer(E3′)内のPU.1結合配列が、組み換えを抑制的に制御するシスエレメントである事を示したが、我々は最近、同じE3′内のBSAP結合配列がPU.1モチーフと協調して、組み換えの制御に抑制的に働いている事を見出した(Hayashi,R.et al.投稿中)。 当グループでは、嗅覚受容体遺伝子系の発現制御について、現在研究の立ち上げを行っているが、最近YACベクターを用いて嗅覚受容体遺伝子をトランスジェニックマウスに導入し、その発現に世界で初めて成功した。我々は外来性トランスジーンをlacZ遺伝子でtaggingし、内在性遺伝子の一方のalleleをGFP遺伝子のknock-inによって標識して発現細胞の投射を解析した。その結果驚くべき事に、これら3つのalleleは全く同じ嗅覚受容体をコードするにもかかわらず、相互排他的に発現され、それぞれを発現する嗅神経軸索の嗅球上での投射先は、隣接はしているものの別の糸球である事が見出された。これは一遺伝子・一投射先という嗅覚系における新たなルールを示唆するものとして極めて興味深い(Serizawa,S.et al.投稿中)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 名川文清・石黒啓一郎・坂野 仁: "V(D)J組み換えの素過程-RAG/RSS複合体のフットプリント解析-" 蛋白質・核酸・酵素. 43. 101-110 (1998)
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[Publications] K.Touharu et al.: "Functional identification and reconstitution of an odorant receptor in single olfactory neurons." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 96. in press (1999)