1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07102005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 明男 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70112670)
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Keywords | ポリオウイルス / 感染マウスモデル / ポリオウイルス受容体 / 病原性 / 体内伝播 / IRES / 神経軸索輸送 / 宿主 |
Research Abstract |
本年度は、ポリオウイルスの体内伝播経路のうち、骨格筋から神経軸索を介して、中枢神経に到るメカニズムの解析を行った。ポリオウイルス感受性トランスジェニック(Tg)マウスの筋肉内にポリオウイルス1型の強毒株(マホニ-株)を接種し、マヒ発症を観察した。ポリオウイルスは最も速い逆行性の神経軸索輸送系の一つにより運ばれていること、この感染系にはポリオウイルス受容体(PVR)が関与していることを示した。さらにPVRの細胞質領域には細胞質ダイニンが結合している可能性を示すことが出来た。以上のことから、ポリオウイルスは、神経末端から、PVRの働きで、エンドソームに取り込まれ、そのエンドソームが、細胞質ダイニンによる逆行性軸索輸送系により、中枢神経系に移行するという仮設を立てた。 non-Tgマウスの脊髄で増殖するポリオウイルス変異株の分離に成功した。この変異株の脊髄増殖能を与えている変異は、ウイルスカプシド蛋白質VP4上に存在することを分子遺伝学的解析により、明らかにした。VP4はウイルス粒子内部の蛋白質であり、直接宿主蛋白質と相互作用するとは考えにくい。新しい、ウイルス感染機構の解明につながると考えている。なお、この変異体は大脳での増殖能は見られない。 ポリオウイルスの翻訳開始は、IRES依存的に起こる。IRES結合蛋白質p40の精製に成功し、そのアミノ酸配列を決定したところ、ヒトの新規物質であり、大腸菌のシアル酸合成酸素と高い相同性を示すことが判明した。また、IRES関連分子の一つLa蛋白質は核内に多く分布するが、ポリオウイルス感染細胞内では細胞質へと分布が変化する。この現象を解析したところ、ポリオウイルスの3Cプロテアーゼの作用であることが判明した。3CプロテアーゼはLa蛋白質の核移行シグナル部分(C末端に存在)を直接切断することを明らかにした。
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[Publications] Kazuko Shiroki: "Host range phenotype induced by mutations in the internal ribosomal entry site of poliovirus RNA" J.Virol. 71(1). 1-8 (1997)
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[Publications] Shusuke Kuge: "Regulation of yAP-1 nuclear localization in response to oxidative stress" EMBOJ. 16(7). 1710-1720 (1997)
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[Publications] Wei-Xing Yang: "Efficient delivery of circulating poliovirus to the central nervous system independently of polioviurs receptor" Virology. 229(2). 421-428 (1997)
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[Publications] Nobuhiko Kamoshita: "Genetic analysis of intermal ribosomal entry site on hepatitis C virus RNA" Virology. 223(1). 9-18 (1997)
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[Publications] Katsuya Tsuchihara: "Specific interaction of polypyrimidine tract-binding protein with the extreme 3` termianl structure of the hepatitis C virus genome,the3`x" J.Virology. 71(9). 6720-6726. (1997)
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[Publications] Junken Aoki: "Mouse homolog of poliovirus receptor-related gene 2 product,mPRR2,mediates cell aggregation" Exp.Cell Res.235. 374-384 (1997)