2000 Fiscal Year Annual Research Report
大脳認知記憶の神経機構:機能的磁気共鳴画像法と細胞レベルアプローチの統合
Project/Area Number |
07102006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 保司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40114673)
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Keywords | 大脳 / 記憶 / ニューロン / 視覚 / 神経栄養因子 / 非侵襲計測 / PCR / イメージング |
Research Abstract |
1.由来神経成長因子(BDNF)が大脳側頭葉36野において、記憶形成時に特異的に発現することを発見した。遺伝的バックグラウンドをコントロールするため、左右の大脳半球を外科手術により分離し、片側をコントロールとして用いる分離脳標本を開発した。一例の大脳半球に対連合課題を学習させ、対側の大脳半球にはコントロール課題として視覚弁別課題を学習させた。視覚一次野、視覚四次野、TE野、36野、海馬の各々からmRNAを抽出し、RT-PCR法によって種々の神経栄養因子遺伝子群、コントロール遺伝子群の発現を定量した。BDNFは、対連合記憶形成時にのみ36野に特異的に発現していた。NGF、NT-3のような他の神経栄養因子やアクチンのようなハウスキーピング遺伝子は、対連合記憶形成側と弁別記憶形成側で発現に差がなかった。この事実は、対連合記憶形成にBDNFが特異的に寄与していることを示しており、記憶形成において神経回路の再構成が必要である、との仮説を支持する証拠を与える(Tokuyama et al.Nature neuroscience 3,1134-1142,2000)。 2.脳の情報処理では、感覚入力を受ける感覚領野から運動出力を指令する運動領野へ向かって、隣り合う領野が次々と信号を受け渡して行く階層的情報処理が主に考えられてきた。しかし、感覚刺激を手がかりとして記憶を想起するときにはこの原理が成立せず、記憶を形成する役割を担っている大脳辺縁系から逆向きに想起情報が伝播して行くことを発見した。実際、手がかりとなる視覚信号自体は、大脳側頭葉新皮質のTE野から、古い皮質である傍嗅野へと前向きに伝わることを確かめた。次に、記憶想起信号の伝わる向きを反応潜時から計測すると、まず傍嗅野に想起対象を表す信号が現われ、その後、次第にTE野のニューロン群が想起対象をコードするようになることが判明した。この結果は、記憶想起信号が大脳側頭葉内を、感覚信号とは逆方向に伝播することを示しており、記憶想起の障害がどのようなメカニズムによって起こるかを解析する基礎を与える(Naya,Yoshida & Miyashita,Science 291,661-664,2001)。
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[Publications] Naya,Y.: "Backward spreading of memory retrieval signal in the primate temporal cortex."Science. 291. 661-664 (2001)
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[Publications] Nemoto,T.: "Sequential replenishment mechanism of exocytosis in pancreatic acini."Nature Cell Biol. 3. 253-258 (2001)
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[Publications] Tokuyama,W.: "BDNF upregulation during declarative memory formation in monkey inferior temporal cortex."Nature neuroscience. 3. 1134-1142 (2000)
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[Publications] Ohki,K.: "Arrangement of orientation pinwheel centers around area 17/18 transition zone in cat visual cortex."Cerebral cortex. 10. 593-601 (2000)
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[Publications] Hashimoto,R.: "Functional 206.differentiation in the human auditory and language areas revealed by a dichotic listening task."Neuroimage. 12. 147-158 (2000)
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[Publications] Miyashita,Y.: "Neural representation of visual objects : encoding and top-down activation."Current Opinion in Neurobiology. 10. 187-194 (2000)
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[Publications] Sekihara,K.: "Estimating neural sources from each time-frequency component of magnetoencephalographic data."IEEE Transactions on Biomedical Engineering. 47. 642-653 (2000)
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[Publications] Hashimoto,T.: "Expression of brain-derived neurotrophic factor, neurotrophin-3 and their receptor messenger RNAs in monkey rhinal cortex."Neuroscience. 95. 1003-1010 (2000)
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[Publications] Embick,D.: "A syntactic specialization for Broca's area."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 97. 6150-6154 (2000)