1997 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性の発生学的メカニズム:脊索動物の起源と進化に関する分子発生生物学的研究
Project/Area Number |
07102012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 矩行 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30025481)
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Keywords | 生物多様性 / 発生学的メカニズム / 脊索動物の起源 / 脊索 / Brachyury遺伝子 / ウニ / ホヤ / ギボシムシ |
Research Abstract |
脊索は脊索動物を特徴づける最も重要な形質の一つである。本研究の目的は、脊索形成に関わる遺伝子Brachyury(T)が動物の進化においてどのようにオ-ガナイズされてきたのかを解析することによって、脊索動物の起源と進化を分子発生生物学的に解明することである。本年度は主として次のようなことがわかった。 1.T遺伝子は脊索をもたない新口動物である棘皮動物のウニでも保存されていることはすでに示したが、脊索をもたない新口動物のもう一つの動物群である半索動物でも保存されており、その発現は一過的で、原腸胚期に原口と口陥で発現することがわかった。これらの結果は、T遺伝子はほぼ全ての動物で保存されており、初期発生において内胚葉からくびれて切れて形成されるような中胚葉組織で発現し、その細胞分化に重要な役割を担っていることを示唆する。 2.したがって、脊索の起源を探るためには、脊索動物のT遺伝子が働いた時には脊索ができるのに対して、脊索を持たないウニのT遺伝子が働いた時には2次関充織ができる、という問題にアプローチする必要がある。そこでまずホヤT遺伝子が働いた時に発現する遺伝子群(ターゲット遺伝子)の解析を開始した。ホヤのNHF-3遺伝子の上流域をうまく利用した系を駆使してこれまでに約600の候補のcDNAクローンが得られた。現在、これらのクローンを解析中である。 3.また、ウニで同様の試みを開始したが、まだ結果は得られていない。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Terazawa,K.: "Formation of the chordamesoderm in the amphioxus embryo : Analysis with Brachvurv and fork head/HNF-3 genes." Development Genes and Evolution. 207. 1-11 (1997)
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[Publications] Wada,H.: "Neural tube is partially dorsalized by overexpression of HrPax-37 : The ascidian homologue of Pax-3 and Pax-7." Developmental Biology. 187. 240-252 (1997)
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[Publications] Yoshida,S.: "Maternal genes with localized mRNA and pattern formation of the ascidian embryo." Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology. 62(in press). (1997)
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[Publications] Miya,T.: "Functional analysis of an ascidian homologue of vertebrate Bmp-2/Bmp-4 suggests its role in the inhibition of neural fate specification." Development. 124. 5149-5159 (1997)
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[Publications] Satou,Y.: "posterior end mark 2 (pem-2),pem-4,pem-5 and pem-6 : Maternal genes with localized mRNA in the ascidian embryo." Developmental Biology. 192. 467-481 (1997)
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[Publications] Shimauchi,Y.: "Autonomy of ascidian fork head/HNF-3 gene expression." Mechanisms of Development. 69. 143-154 (1997)