1999 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性の発生学的メカニズム:脊索動物の起源と進化に関する分子発生生物学的研究
Project/Area Number |
07102012
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 矩行 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30025481)
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Keywords | 生物多様性 / 発生学的メカニズム / 脊索動物の起源 / 脊索 / Brachyury遺伝子 / ターゲット遺伝子 / 遺伝子サーキュートリー / ホヤ |
Research Abstract |
脊索は脊索動物を特徴づける最も重要な形質の一つである。本研究の目的は、脊索形成に関わる遺伝子Brachyury(T)が動物の進化においてどのようにオーガナイズされてきたのかを解析することによって、脊索動物の起源と進化を分子発生生物学的に解明することである。本年度は主としてユウレイボヤのBrachyury(Ci-Bra)遺伝子の働きをうけて実際に脊索形成で働く遺伝子の解析を行い、次のようなことがわかった。 エレクトロポレーション法を駆使するとCi-Bra過剰発現胚を大量に得ることができる。このCi-Bra過剰発現胚と正常胚のmRNAをサブトラクションすることによって、過剰発現胚で大量に発現するmRNAのcDNAクローンの単離を試みた。その結果、約980のクローンが得られ、それらが独立か否か、Ci-Braによって活性化されるか否かを調べた結果、約510クローンが実際にCi-Braによって活性化される遺伝子であることがわかった。これらすべてにつきその発現パターンを調べたところ、約40のcDNAは脊索特異的または脊索に優性に発現する遺伝子を現していた。そこで、その中の20につきcDNAの塩基配列を決定したところ、これらの遺伝子がコードするタンパク質は、脊索が実際に形成される際の形の変化や、脊索鞘の形成に関わる細胞外マトリックスに関連するものであった。これらの遺伝子の発現パターンなどから推測すると、これらの遺伝子はCi-Braの直接的なターゲット遺伝子と考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Satou, Y.: "Development gene activities in ascidian embryos"Current Opinion in Genetics & Development. 9. 542-547 (1999)
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[Publications] Takahashi, H.: "Brachyury downstream notochord differentiation in the ascidian embryo"Genes & Development. 13. 1519-1523 (1999)
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[Publications] Takahashi, H.: "Evolutionary alterations of the minimal promoter for notochord-specific Brachyury expression in ascidian embryos"Development. 126. 3725-3734 (1999)
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[Publications] Peterson, K. J.: "A comparative molecular approach to mesodermal patterning in basal deuterostomes : the expression pattern of Brachyury in the enteropneust hemichordate Ptychodera flava"Development. 126. 85-95 (1999)
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[Publications] Ogasawara, M.: "Developmental expression of Pax1/9 genes in urochordate and hemichordate gills : insight into function and evolution of the pharyngeal epithelium"Development. 126. 2539-2550 (1999)
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[Publications] Satou, Y.: "Expression cloning of an ascidian syndecan suggests its role in embryonic cell adhesion and morphogenesis"Developmental Biology. 211. 198-207 (1999)