1995 Fiscal Year Annual Research Report
音声コミュニケーション行動の獲得に果たす視覚情報の役割についての研究
Project/Area Number |
07202212
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
重野 純 北里大学, 教職課程, 助教授 (20162589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ディアス ジョセフ V. 北里大学, 一般教育総合センター・(外国語センター), 講師 (70226380)
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Keywords | McGurk効果 / 弁別 / 母音随伴効果 / 妨害効果 / 聴覚的短期記憶 |
Research Abstract |
本年度もMcGurk効果についての実験を2種類行った。実験1では、平成5年度に行ったMcGurk効果における母音随伴効果について、より詳細な実験条件を求めて検証した。すなわち、3種類の母音毎の場合に生じる融合反応の割合と、3種類の母音を同じ系列内で提示した場合との比較を行った。さらに、実験2では、平成6年度に得た知見についてさらに検討するために、弁別を行う2つの刺激の間に、白色雑音、映像を伴わない発話映像を妨害刺激として挿入する実験を行った。これらの実験から、以下に示すような主要な結果を得た。 1.McGurk効果のような視聴覚情報の総合過程においても、母音随伴効果が見られることが分かった。しかしその一方で、視聴覚間で母音が一致している場合の方が、母音文脈に規定される傾向の強いことも分かった。 2.McGurk効果によって/da/に聞こえる刺激は、音色も変わって聞こえていることが弁別実験によって示されたが、2つの刺激間に妨害刺激を挿入する実験の結果から、弁別成績は影響を受けることが明らかになった。 3.弁別成績は、白色雑音を挿入した場合よりも映像のみを挿入した方が大きく影響したことから、視覚情報は音声知覚の比較的初期の段階で、すでに聴覚情報の処理に影響を及ぼしていることが示唆された。 なお、前年度に引続きジェスチャーの発現と言語の発達との関連からも音声コミュニケーション行動の獲得に対する視覚情報の影響を調べるために、バイリンガル児の言語行動を記録しているが、まだまとまった考案を行うところまで進んでいない。
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Research Products
(1 results)