1995 Fiscal Year Annual Research Report
前近代東南アジア史における「中心-周辺」関係の類型化
Project/Area Number |
07203105
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Research Institution | Osaka University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
八尾 隆生 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50212270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 助教授 (50183942)
桃木 至郎 大阪大学, 文学部, 助教授 (40182183)
深見 純生 桃山学院大学, 文学部, 助教授 (40144555)
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Keywords | マレー半島 / チャンパ / ムオン族 / 嘱書 / 黎朝 / ジヤンク / 東インド会社 / 砂糖 |
Research Abstract |
本年は以下の如く4回の研究会を開催し、研究班メンバー4名全員が研究報告を行った。 深見は、横倉雅幸の考古学的業績を元に、文献史学の立場から新たな展開の可能性を探ろうとした。新たな史料の発見と、既知の史料の再検討から深見は、マレー半島に古代遺跡が多いのは言うまでもなくマレー半島が東西交易において重要な位置を占めたからであり、それは少なくとも3つのレベル、すなわち地場レベル、地方レベル、遠距離交易レバルに分けて考察する必要があるとした。 桃木は、チャンパ研究の成果と今後の展望をチャンパ史の諸段階と東西アジア史の中のチャンパ史の二つの角度から論じた。そして東西アジア史の中でチャンパ史を位置づけ、チャンパが地方権力のゆるやかな連合体であること、他民族構成をもつことなど「東南アジア的国家」の性格を有していた事、東南アジアのあらゆる地域や文化やヒトの交流をもっていた事を指摘した。 八尾は、ベトナムの中心-周辺関係を探るという視点から、少数民族ムオン族首長の一族の嘱書を分析した。そして、ベトナム北部で発見された15世紀の嘱書を検討した結果、強大な黎朝とランサン王国に挟まれたムオン族の中小首長が黎朝の支配秩序に組み込まれ、その求める「様式」に従いながらも、その一方でそれを自らの権力維持の道具にしようとしたのがこの嘱書の存在であるとした。 真栄平は17-18世紀以降、広東や福建から日本へ来航する中国ジヤンクやオランダ東インド会社によって輸入高が急増する砂糖に注目し、その歴史的特質に着目すると、それがサトウキビの栽培を通して農業に関わり、製糖過程において工業生産に関わるテーマである事を指摘し、農業から工業が歴史的に分化していく過程をさぐる上でも、砂糖が一つの重要な研究対象である事を論じた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 八尾隆生: "黎朝聖宗期の新開拓地を巡る中央政権と地方行政-安興碑文の分析" 東南アジア研究. 33-2. 1-26 (1995)
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[Publications] 八尾隆生: "Khao sa ve Nien hieu Vua Le Nhan Tong" 大阪外国語大学論集. 13. 195-206 (1995)
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[Publications] 深見純生: "歴史的背景" 綾部恒雄・石井米雄編『もっと知りたいインドネシア』第2版. 1-45 (1995)
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[Publications] 桃木至朗: "ベトナムができるまで" 桜井由躬雄編『もっと知りたいベトナム』2版. 62-81 (1995)
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[Publications] 真栄平房昭: "ペリ-来航と沖縄-東アジアの近代を考える-視点" 深沢徹編『オリエント幻想の中の沖縄』. 174-198 (1995)
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[Publications] 真栄平房昭: "江戸上りの旅と墓碑銘" 沖縄文化研究. 21. 73-97 (1995)