1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07203201
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 光雄 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (50115789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 義仁 静岡大学, 人文学部, 教授 (20170954)
重田 眞義 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助手 (80215962)
太田 至 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (60191938)
荒木 茂 京都大学, アフリカ地域研究センター, 助教授 (00158734)
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Keywords | 比較生態史 / 自然と人為 / 衛星画像 / 半砂漠 / サバンナ / 疎開林 / ミオンボ / 熱帯雨林 |
Research Abstract |
本研究では、とくに東南アジア諸地域との比較を念頭において、申請者らが長年調査に携わってきたアフリカ諸地域の生態史の検討を進めた。アフリカ地域の代表的な景観として、砂漠周縁部(サヘル地域)、熱帯雨林(コンゴ盆地)、サバンナ及びミオンボ疎開林(東・南部アフリカ)を取り上げ、各々の地域における人間と環境の相互作用の歴史的な変化とそれが地域の生態や景観に及ぼした影響の検討を行なった。 まず、サヘル地域に関しては、東西及び南北の2軸に沿って展開してきたこの地域の歴史・地域構造を把握し、それらとサハラの南北を結ぶ交易活動との関連を明らかにしたほか、19世紀に相次いで勃興したイスラム国家の生態的条件を検討した。また、それらの国家が、地域の生態的条件を乗り越えて拡大していく過程について考察した。つぎに、森林が卓越するコンゴ川流域においては、短期間のうちにこの地域一帯に分布を広げたバントゥー系農耕民の初期の移動と森林適応型の農耕分化の形成について検討した上で、彼らの分散的な居住様式や小集団単位の社会生活の特性、及びそれらと生態環境との関連を検討した。さらに、東・南部アフリカ一帯に広がるミオンボ・ウッドランドについては、この地域の農民の移動焼畑と彼らの流動的な社会組織が原生的な植生に与えた影響について、とくに衛星画像を使って解析した。最後に、東・南部アフリカのサバンナにおける牧畜分化の形成についての検討をおこなった。 これらの成果について、研究会等で相互に検討したほか、年度末には「東南アジアとアフリカ」と題して、両地域の比較検討のための研究集会を開催した。
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[Publications] 市川光雄: "「狩猟採集社会における道具使用・協業・分配」" 『霊長類研究』. 第11巻. 231-238 (1995)
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[Publications] 市川光雄: "「開発・保護と地域」" 『総合的地域研究成果報告書』. 第9巻(印刷中). (1996)
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[Publications] Ichikawa, M. and H. Terashima: "Cultural Diversity in the Use of Plants by the Mbuti Hunter-gatherers in Northeastern Zaire:An Ethno- botanical Approach. Kent (ed, )" Cultural Diversity among Twentieth- century Foragers: Cambridge University Press.276-293 (1996)
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[Publications] 市川光雄: "「後期先史時代:変動と移動の時代」" 『アフリカ史』宮本・松田編、講談社. (印刷中). (1996)
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[Publications] 市川光雄: "「森の文化の多様性-ムブティ・ピグミーの植物利用に見られる変異-」" 『続・自然社会の人類学』田中・掛谷・市川・太田編アカデミア出版社. (印刷中). (1996)
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[Publications] Ichikawa, Mitsuo: "The Co-exsistence of Man and Nature in the Central African Rain Forest. Fukui and Ellen (eds. )" Redifining Nature:Ecology, Culture and Domestication. Berg Publishers. (in press).(1996)
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[Publications] 荒木 茂: "「土とミオンボ林-ベンバの焼畑農耕」" 『続・自然社会の人類学』田中・掛谷・市川・太田編アカデミア出版会. (印刷中). (1996)
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[Publications] 太田 至: "「家畜の群れ管理における自然と文化の接点」" 『地球に生きる』福井編、雄山閣出版. 第4巻. 193-224 (1995)
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[Publications] 太田 至: "「規制と折衝-トゥルカナにおける家畜の所有権をめぐって-」" 『続・自然社会の人類学』田中・掛谷・市川・太田編アカデミア出版会. (印刷中). (1996)
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[Publications] 重田眞義: "「品種の創出と維持をめぐるヒト-植物関係」" 『地球に生きる』福井編、雄山閣出版. 第4巻. 143-164 (1995)
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[Publications] 市川光雄: "『生態人類学を学ぶ人のために』(秋道・大塚・市川、共編著)" 世界思想社, 275 (1995)
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[Publications] 嶋田義仁: "『牧畜イスラーム国家の人類学』" 世界思想社, 299 (1995)