1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07206106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 紘一 北海道大学, スラブ研究センター, 教授 (10091414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 博史 国立民族学博物館, 助教授 (80142016)
佐々木 史郎 国立民族学博物館, 助教授 (70178648)
斎藤 晨二 名古屋市立大学, 人文社会学部, 教授 (70094373)
中井 和夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40188868)
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Keywords | 民族 / 共存モデル / 言語問題 / 民族関係論 / 環境問題 / 生き残り戦略 |
Research Abstract |
今年度の研究実績は、初年度に引き続いて研究分担各自が進める海外現地調査、および年間5回開催した研究集会、さらには初年次の研究成果を収録した報告書(『民族の共存を求めて(1)』)の刊行によって集約される。 1海外現地調査では、中井と佐々木がそれぞれシベリアとウクライナにおいて民族関係に関する調査を実施、特に佐々木は、現下のシベリアで基本単位をなすのは民族ではなくて、さまざまな民族の出身者で構成される生業集団であるという興味深い観察をもたらすとともに、庄司は同じく北ロシアで、ウラル系諸民族の言語事情調査を続行、斎藤はシベリアの環境破壊の現場を踏査した。井上はウラヂオストクとユジノ・サハリンスクの古文書館で資料調査実施し、今世紀初めに起草された数種の「原住民等統治法案」を発見した。 2研究集会では、各自の研究成果を報告するとともに、S.アルチュウノフ、N.ジュウコフスカヤ(モスクワ民族学研究所)、福田正己(北大)、今福龍太(中部大)など、内外の専門家を招いて講演も依頼し、有意義な討論を行うことができた。これらの成果は、1997年度中に論集として刊行する予定である。 3『民族の共存を求めて(1)』(1996年9月刊)には、研究分担全員の論文のほか、総括班の加藤九祚(創価大)、公募研究の北川誠一(弘前大)の研究成果も収録されている。1997年には『民族の共存を求めて(2)』を公刊する計画である。 なお、1997年7月に行われるスラブ研究センターの夏期国際シンポジウム「共存のモデルを求めて:スラブ・ユーラシアの変動に見る民族の諸相」には、わが班の研究分担者が積極的に参加する予定である。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] 井上紘一: "エトノスをめぐる管見あれこれ" 領域研究報告輯,no.13,北大スラブ研究センター. 111-119 (1996)
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[Publications] 井上紘一: "マルタイにおける世直し運動" 『中央アジアの世界』北海道開発問題調査研究会. 104-147 (1996)
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[Publications] M. G. Turov: "The Ewenki of Central Siberia (in Russian)" 斎藤晨二編『シベリアへのまなざし』名古屋市立大学教養部. 11-97 (1996)
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[Publications] 中井和夫: "クリミアにおける民族関係" ロシア研究. 22. 43-63 (1996)
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[Publications] 中井和夫: "オデッサに見る民族の関係" 領域研究報告輯,no.13,北大スラブ研究センター. 3-9 (1996)
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[Publications] 中井和夫: "NATOの東方拡大とウクライナ" ウクライナの安全保障. 5-15 (1996)
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[Publications] 佐々木史郎: "ロシア極東における政治情勢と民族間関係" 領域研究報告輯,no.13,北大スラブ研究センター. 10-37 (1996)
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[Publications] 佐々木史郎: "クストゥールにおける野生羊猟の過程" 斎藤晨二編『シベリアへのまなざし』名古屋市立教養部. 98-107 (1996)
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[Publications] 斎藤晨二: "ヴェルホヤンスキー山脈東麓のエブェン人" 領域研究報告輯,no.13,北大スラブ研究センター. 38-49 (1996)
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[Publications] 斎藤晨二: "ヤク-チアのトナカイ飼育" 斎藤晨二編『シベリアへのまなざし』名古屋市立大学教授. 98-107 (1996)
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[Publications] 庄司博史: "言語の多様性と普遍性:文化人類学との接点のなかで" 日本語学. 15. 4-14 (1996)
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[Publications] 庄司博史: "ソ連民主化以降の民族共和国の言語運動と言語政策:ポルガ流域ウラル系諸族の場合" 領域研究報告輯,no.13,北大スラブ研究センター. 94-110 (1996)
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[Publications] 庄司博史: "サーミ言語法とサーミ語の試練" 世界の言語問題2国立国語研究所. 23-46 (1996)
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[Publications] 佐々木史郎: "北から来た交易民:絹と毛皮とサンタン人 NHKブックス772" 日本放送出版協会, 280 (1996)
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[Publications] 井上紘一編: "民族の共存を求めて(1)(領域研究報告輯,no.13)" 北大スラブ研究センター, 119 (1996)
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[Publications] B. Pilsudski: "Materials for the Study of Nivhgu (Gilysk) Language and Folklore" Slavic Research Center of Hokkaido Univ. & IIEOC, Steszew, Poland, xix+398 (1996)