1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07206204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 和貴夫 大阪大学, 言語文化部, 教授 (70029734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城野 充 大阪大学, 言語文化研究科, 助手 (20263337)
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Keywords | ロシア極東 / 地方政治 / ナズドラチェンコ / 沿海地方議会選挙 / 国家会議選挙 / ロシア公共テレビ / 極東像 / ヴレ-ミャ |
Research Abstract |
本年度、藤本はロシア極東地方の沿海地方を中心に、地方政治と中央との関係の分析を行った。この場合、無視できないのが地方行政長官=知事ナズドラチェンコの動向であり、同時に、沿海地方有力企業の企業長と旧共産党官僚による組織「パクト」の動向であった。ここにおいて、重要な出来事は、この「パクト」のメンバーの対立と分裂の結果、反ナズドラチェンコ派が結成されたことである。 このような状況のなかで94年10月〜95年12月に実施された沿海地方議会選挙の結果は、低投票率と当選者の大部分が企業長と知事の任命した行政機関の長であることを特徴とする。これは市民の政治不信と沿海地方での行政の圧倒的優位を示すものである。その結果、95年12月月の知事選挙でナズドラチェンコは圧勝した。大統領任命制の知事からの脱却は中央に対する彼の立場を強化したといえるが、これは沿海地方において国家会議選挙での自由民主党の勝利と共通の背景をもつ。ポピュリズム的政策は当分続くと見なければならない。 城野は「ロシア公共テレビが描く極東像-モスクワの視点と 極東の視点-」を中心に研究活動を行った。強力な伝播性をもつテレビ(ニュース番組)の環境造成力は、イメージの再構成・再分配機能の面から、決して無視することはできない。この点はにおいて中央つねにゲイトキ-パ-として存在し、中央によるロシア像の再構成は地方の役割の固定化をもたらしかねない。以上の問題意識のもと、本年度の分析はモスクワが描いている極東像とは一体どのようなものであるのかを、ニュース番組『ヴレ-ミャ』から明らかにすることであった。これまでの分析結果として、次の3つの主要な傾向を認めることができる。それは、「太平洋艦隊の母港」としての極東、「第一次産品供給地」としての極東、そして「エネルギー危機に直面し、混乱する」極東像である。
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Research Products
(1 results)