1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07208212
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石田 俊正 静岡大学, 工学部, 助教授 (50212890)
|
Keywords | 超励起状態 / ペニングイオン化 / スピン軌道相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、レーザーやシンクロトロン放射光の発展に伴い関心が高まっている超励起状態からのイオン化過程であるペニングイオン化について理論的に研究した。具体的には、スピン軌道相互作用の効果をAr+He^*(2^3S)の系で調べ、N_2+He^*(2^3S)の系で古典論・量子論で種々の近似計算を行い、比較を行った。紙数の関係で前者についてのみ述べる。 計算で求めた共鳴状態のポテンシャルは実験から見積もられたポテンシャルと定性的に一致した。主要な寄与をするΣ_<1/2>状態とΠ_<1/2>状態について調べると、核間距離3Å以上では、同じ比率2:1である。一方、核間距離3Å以下では、Γ(Σ_<1/2>)は核間距離の減少につれて増加するのに対し、Γ(Π_<1/2>)は増加が鈍りついには減少に転ずることがわかった。これは、核間距離の減少に伴ってΣ_<1/2>状態のΣ性がはっきりしてくるためであるとして解釈される。 全イオン化断面積の絶対値のオーダーは実験値と一致した。全イオン化断面積がこのエネルギー領域で増加し、また、高エネルギーで増加が頭打ちになる実験結果を再現している。このことより、求められたポテンシャルと幅は概ね妥当なものであると考えられる。低衝突エネルギーでは、σ(^2P_<3/2>)/σ(^2P_<1/2>)は2である。衝突エネルギーが増加すると、その比は2から増加していくことがわかる。この結果は最近行われた実験結果を再現するものである。これは次のように解釈することができる。すなわち、低エネルギーでは、核間距離が大きなところでイオン化が起こるため、Γ(Σ_<1/2>)とΓ(Π_<1/2>)の比が2:1である。したがって、イオン化断面積は2:1となる。一方、衝突エネルギーが増加していくと、ArとHe^*がより接近でき、Γ(Σ_<1/2>)のΓ(Π_<1/2>)に対する比が大きい核間距離でのイオン化の寄与が大きくなる。このために、断面積の比は2より大きくなる。
|
Research Products
(1 results)