1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07210221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 晃史 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10211848)
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Keywords | 量子群 / 表現論 / 場の理論 / 無限自由度 / 対称性 / 共形場理論 / 指標公式 / 双対性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年数理物理の分野で進展の著しい無限次元量子群とその表現論の成果を、電子強相関系へ応用することにあった。こうした最近の方法論の本質的に新しい点は、場の理論に特有の無限自由度の困難を、無限次元の対称性でコントロールすることによって、本質的に問題を有限の、可解な表現論の問題に帰着させてしまうことである。しかし、こうしてたとえば相関関数がある差分方程式系の解であるべしということが示されるが、そこから解の具体的な表示を求めることは簡単ではない。 我々は、共形場理論で役に立った自由場表示のq-変形を考えることによってaffine型の量子群の作用を、いわゆる頂点作用素までこめてFock空間の中に埋め込む方法を開発した。これにより、上記の差分方程式の解を具体的に構成する手段の一つが得られたことになる。ただ、残念ながら、当初予定していたような電子系に対する応用の開発は余り進まなかった。 現在、全く異なる視点ではあるが、共形場理論のヒルベルト空間の構造を与える指標公式について、それがq-展開された関数としてどのような非線形方程式によって統制されるかという問題を調べている。これは、最近活発に研究が行われているミラー対称性や双対性において、さまざまな保型関数が現れ、その展開係数が重要な意味を持つためである。関連する研究として江口・大栗による線形微分方程式による特徴付けの仕事はあるが、これは代数的なモジュラスに対する方程式であり、変数qあるいはγに対するものではなかった。Null vectorの類似を用いて微分方程式を構成する方法について、部分的な結果を秋の物理学会で報告した。共形場理論の指標はいいモジュラー変換性を持つことが知られており、このことを更に調べることで、逆に双対性にたいする理解が深められると考えている。
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Research Products
(1 results)