1995 Fiscal Year Annual Research Report
ファンデアワールス・エピタキシ-法によるフラーレン超薄膜の作製とその物性の解明
Project/Area Number |
07213207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉木 幸一朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70143394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 啓司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40223482)
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Keywords | C_<60>、C_<70> / ファンデアワールスエピタキシ- / エネルギー損失分光 / 表面超構造 |
Research Abstract |
フラレン薄膜の成長初期過程としての単分子膜の状態について、従来は原子間力顕微鏡(AFM)による観察によって研究を進めてきたが、本年度はそれに加えて高分解能エネルギー損失分光法(HREELS)法による解明を試みた。 1.MoS_2劈開面上のC_<60>単分子膜のHREELS測定 C_<60>のIR活性モードは、単分子膜試料と厚膜試料でほとんど同じであり、C_<60>分子とMoS_2基板の間に結合あるいは電荷移動などの強い相互作用はないことを示している。これはMoS_2表面にダングリングボンドが存在しないことに由来すると考えられる。しかし、鏡面反射条件下で観測される158meVのピークは本来のC_<60>の対称性からは禁制なピークであり、単分子膜でのみこのピークが観測されることは、MoS_2表面上の局所電場がC_<60>分子を分極させるなどの相互作用の存在を示唆している。 2.Si(111)7x7上のC_<60>エピタキシャル成長初期過程のHREELS測定 Si(111)7x7再構成表面上に成長したC_<60>薄膜のHREELSスペクトルから、被覆率の違いによる吸着構造の違いが明らかになった。0.2分子層の低被覆度の場合には分子はSi表面のダングリングボンドに結合しているが、被覆率が0.6に増加するとC_<60>分子が大きいために吸着サイトの奪い合が起きてSiとの結合は弱化する。さらに被覆率が1になると、17x17構造が安定化することを見い出した。 3.C_<60>分子とSi基板の反応性 Si(100)および(111)基板上に成長した単分子膜について基板温度を上げて基板との反応性を調べた結果、(100)面上では350Kで化学吸着した後、850Kまでは分解せずに残るが、(111)面上では850Kではじめて基板と反応することがわかった。
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Research Products
(1 results)