1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07214207
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 和彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80016154)
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Keywords | 光学活性体 / 光学分割 / 不斉合成 / オキサゾリジノン / オキサザボロリジン / ボラン還元 / 不斉アルキル化 |
Research Abstract |
人工光学活性化合物はその構造選択の自由度も大きく,また,2つのエナンチオマーが容易に得られる点など,多くの利点を有する化合物である。しかしながら,これまで光学分割により得られた不斉源としてはビナフチル系の化合物など少数の例が知られているのみであり,その合成化学的検討は十分になされているとはいえない。この様な観点から,新規合成不斉助剤の創製,およびそれらの不斉合成への応用について検討を行なった。先に我々は,cis‐2‐アミノ‐1‐アセナフテノールの光学分割,および不斉合成への応用を検討し,これが優れた人工不斉助剤となることを見いだした。今回,このアミノアルコールから誘導されるオキサザボロリジンを触媒として,アリールケトン類のボラン還元を行うと90%e.e.前後の高い光学収率で対応するアルコールが生成することを見出した。さらに,新たな人工不斉源としてcis‐2‐アミノ‐3,3‐ジメチル‐1‐インダノールを設計した。この化合物はアミノ基側に3級のアルキル基が結合している形であるため,より有効な不斉誘起が期待できる。まず合成法を検討した結果,3,3‐ジメチル‐1‐インダノンから4段階の反応で高収率かつ立体選択的に目的の化合物が得られることが分かった。さらに光学分割は,マンデル酸とのジアステレオマ-塩に導き,再結晶により簡便に行うことができた。不斉合成への応用としては,このアミノアルコールから誘導したアシルオキサゾリジンの不斉アルキル化反応を行った。その結果,リチウムジイソプロピルアミドにより調製したエノラートに対して種々のハロゲン化アルキルを作用させることにより,いずれの場合も100:1を越える立体選択性で対応するアルキル化物が得られることを見出した。このようにcis‐2‐アミノ‐3,3‐ジメチル‐1‐インダノールは優れた不斉助剤となることが分かったので,現在さらに種々の不斉合成反応への応用を検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Atsushi Sudo: "cis‐2‐Amino‐1‐acemaphthenol:Practical Resolution and Application to the Catalytic Enantioselective Reduction of Ketones" Tetrahedron:Asymmetry. 6. 1853-1856 (1995)
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[Publications] Atsushi Sudo: "cis‐2‐Amino‐3,3‐dimethy‐1‐indanol:Synthesis,Resolution,and Application as a Highly Efficient Chiral Auxiliary" Tetrahedron:Asymmetry. 6. 2153-2156 (1995)
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[Publications] Yukihiko Hashimoto: "Highly Diastereoselective Addition of Organometallic Reagents to Chiral Imines Derived from 1‐(2‐Methoxyphenyl)ethylamine" Synlett. 961-962 (1995)
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[Publications] Yukihiko Hashimoto: "1‐(2,6‐Dichlorophenyl)ethylamine:a New and Efficient Chiral Auxiliary for the Staudinger β‐Lactam Synthesis" Tetrahedron Letters. 36. 8821-8824 (1995)