1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07214239
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中田 忠 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 主任研究員 (50087524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長澤 和夫 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 研究員 (10247223)
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Keywords | 海洋産天然物 / スウィンホリドA / ヘミブレベトキシンB / 転位反応 / 環拡大反応 / 酢酸亜鉛 / 環状エーテル |
Research Abstract |
近年、海洋産天然物として顕著な生物活性を示し、多くのキラル中心を有する複雑な化学構造の天然物が単離、構造決定されている。しかし、これら天然物は一般には極めて微量しか得ることが出来ず、詳細な活性試験のためにもその化学合成が強く望まれている。本研究では、海綿、渦鞭毛藻等より単離されたスウィンホリドA、プレスウィンホリドA、ヘミブレベトキシンBの合成を目的として研究を展開した。 スウィンホリドAの合成:平成6年度に立体選択的に合成したC11-C32部の左側保護基ベンジリデン基を還元的に除去し、1級アルコールをアルデヒドに酸化した。ついで、Wittig反応で不飽和エステルに変換後、C9-C32位に相当するラクトンに導き、C9位に側鎖アリル基を立体選択的に導入した。現在、更に側鎖伸長を検討中である。 ヘミブレベトキシンBの合成:まず、海洋産多環状エーテル系天然物において最も重要な環状エーテルの合成を検討した。側鎖にメシレート基を有する5及び6員環エーテルに酢酸水溶液中、酢酸亜鉛を作用させると転位反応が立体選択的に進行し、環拡大した6及び7員環エーテルがそれぞれ高収率で得られることを見出した。本転位-環拡大反応を用いて、ヘミブレベトキシンBのC環、マイトトキシンのS及びY環の立体選択的合成に成功した。また、本転位-環拡大反応を基盤としてヘミブレベトキシンBの合成研究を行なった。ゲラニオールより誘導したアリルアルコールのSharplessの不斉エポキシ化反応(AE)等をへて、6,6-双環状エーテルを合成し、そのジメシレート体を転位-環拡大反応に付すと目的とするCD環に相当する7,7-環状エーテルを得ることができた。更に、モデル化合物を用いてABC環の構築を達成した。本手法を基盤としてヘミブレベトキシンBの合成が進行中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T. Nakata: "Stereoselective Synthesis of six-and Seven Membered Ether Rings Based on the Ring Expansion" Tetrahedron Letters. 37. 213-216 (1996)
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[Publications] T. Nakata: "Stereoselective Synthesis of the C-and CD-Ring Systems of Hemibrevetoxin B" Tetrahedron Letters. 37. 217-220 (1996)