1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムエリトリン類似骨格を持つRu及びFe多核錯体の電子移動過程の制御と新機能開発
Project/Area Number |
07215252
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昌子 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80214401)
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Keywords | ヘムエリトリン / 酸素モデル / 多核錯体 / ルテニウム / 鉄 / 電気化学 |
Research Abstract |
Ru二核錯体の電子移動過程の制御ならびに触媒活性能の発現を目的として、関連するFe(III)多核錯体と比較検討しながら新規錯体の構築及びそれらの電気化学的性質の解明を行った。 1.フェノキソ架橋Ru二核錯体の合成と性質:N,N'-(2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-キシリレン)ビス(N-カルボキシメチルグリシン)(H_5-5-CH_3-hxta)を用いて、初めて(μ-フェノキソ)Ru(III)二核錯体Na[Ru_2(5-CH_3-hxta)(O_2CR)_2](R=(1)CH_3,(2)C_6H_5)を合成した。これらの電気化学的性質について詳細に検討し、同様の構造を持つアルコキソ架橋Ru二核錯体と比較、検討を行った。いずれの錯体も元素分析より、Ru:H_5-5-CH_3-hxta:カルボン酸の比が、2:1:2の組成ををもつことあ分かった。また、X線結晶構造解析から、C_2対称をもつ(μ-フェノキソ)ビス(μ-カルボキシラト)Ru二核錯体であることが明らかとなった。定電位電解により得られたIT吸収帯(Intervalence Transfer Band)の電子交換積分Hadの値(0.67〜0.87x10^3cm^<-1>)が、代表的なClass II 錯体の値(Had=0.4x10^3cm^<-1>)に近いことから本錯体系の一電子還元体は、Ruの不対電子がある程度局在化したClass IIの混合原子価錯体であると帰属された。 2.鉄(III)多核錯体の構造と機能:多核形成配位子1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパンN,N,N',N'-四酢酸(H_5dhpta)を用い、一連の鉄(III)二核錯体[Fe_2(dhpta)(RCO_2)(H_2O)_2]及び四核錯体[Fe_4(dhpta)_2(O)(OH)(RCO_2)_2]^<3+>を合成し、それらの構造をX線結晶構造解析により明らかにするとともに電気化学的性質を調べた。四核錯体の構造解析の結果よりカタラーゼ類似活性があることが予想され、過酸化水素との反応について検討した。その結果一部の四核錯体がカタラーゼ類似活性を示すことが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Kato: "Structure and Magnetic Properties of Fe(III)-Dinuclear Complexes with Alkoxo and Carboxlato Bridges" Inorganic Chemistry. 34. 2645-2651 (1995)
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[Publications] M.Abe: "Reversible Multi-Step and Multi-Electron Redox Behavior of the Oxo-Centered Trinuclear Ruthenium Complex with Redox-Active Ligand" Inorganic Chemistry. 34. 4490-4498 (1995)
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[Publications] S.Yano: "A Novel Tetranuclear Iron(III) Complex Having L-Alanine Bridges and an Unprecedented (Fe_4(O_2H))Core" Chemistry Lettes. 61-62 (1996)