1995 Fiscal Year Annual Research Report
種々のホスト化合物を電子移動制御場として用いる新規な陽極酸化反応の開発
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07215280
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
須田 晃治 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (00087785)
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Keywords | 有機電極反応 / スルフィド / 光学活性スルホキシド / シクロデキストリン / 包接化合物 / 不斉場 / 有機電解合成 / 不斉合成反応 |
Research Abstract |
電極反応は酸化剤や還元剤を用いることなく基質の変換を達成できるため、合成化学的に極めて有用な手段となっている。しかし、ごく最近まで、電極反応を利用して基質に不斉を導入する試みは殆ど成されていなかった。筆者等は、不斉場としてのシクロデキストリン(CD)に注目し、CD共存下での不斉電解合成の可能性を探ることにした。今回は、スルフィドのスルホキシドへの電極酸化反応を指標として、種々のCD存在下での不斉誘起について検討した。 電解は、CD、スルフィド、Et4NBrを含む水溶液中、陽陰極に白金を用い定電流で行った。その結果、β-CDや2、6位の水酸基がメチル化されたβ-CD(DMCD)を用いた場合とビフェニル-4,4′-ジスルホニル基でキャップされたキャップドβ-CD(CCD)を用いた場合では、逆の不斉が誘起されることが判った。現在のところ、その不斉収率はあまり高くはないが(20〜5%ee)、電極反応においても不斉を誘起できる可能性を見出すことができた。 以上、本研究では、CDを不斉場として用いることにより、スルフィドの光学活性スルホキシドへの電気化学的な変換が達成できることが明らかにした。将来の有機電解合成では、電気化学的な手法を用いた不斉合成反応の開発が希求されると考えられるが、CDを不斉場として用いる本電極反応は、CDが極めて広範囲の有機化合物を包接できるため、簡便で応用範囲の広い電気化学的な不斉誘起の一手法として利用可能と考えられる。現在、本反応の改良(特にCDの修飾による不斉収率の向上)と他の基質への応用についてさらに検討中である。また、本研究によって得られた成果の一部は投稿準備中である。
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