1995 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム錯体の特異的触媒機能を生かした高選択的炭素骨格形式反応
Project/Area Number |
07216235
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光藤 武明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健司 京都大学, 工学研究科, 助手 (10243049)
近藤 輝幸 京都大学, 工学研究科, 助手 (20211914)
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Keywords | ルテニウム錯体 / 触媒反応 / 炭素-炭素結合生成反応 |
Research Abstract |
本年度は、我々が最近見いだしたルテニウム錯体触媒を用いるノルボルナジエンの炭素骨格変換を伴う高収率、高選択的新規二量化反応による、新規ノルボルナジエン二量体、ペンタシクロテトラデカ-4,8-ジエン(PCTD)合成反応について、反応機構を明かにするとともに新規篭型モノマー合成を目的として以下の検討を行った。 1.反応条件および配位子効果:ノルボルナジエンはRu(cod)dot)[cod:シクロオクタジエン;cot;シクロオクタトリエン]触媒存在下、特異な二量化反応を起こし、ペンタシクロテトラデカ-4,8-ジエン(PCTD)を高収率で与えた。副生成物としてはヘプタシクロテトラデカン(HCTD)が少量得られた。本反応にはN,N-ジメチルアクリルアミドの添加が不可欠であったことから、N,N-ジメチルアクリルアミドの反応支配配位子としての可能性を確かめるために、いくつかのα,β-不飽和アミドの添加効果について検討を行った。β-位に水素を有するα,β-不飽和アミドを用いた場合には触媒反応が進行しPCTDが得られたが、β-位に水素を有しないアミドを用いた場合には本二量化反応はほとんど進行しなかった。これらの結果は本反応において、α,β-不飽和アミドのビニル位のC-H結合活性化により(ヒドリド)(アルケニル)ルテニウム中間体が生成している可能性を示唆している。 2.置換ノルボルナジエンの二量化反応によるPCTD誘導体の合成:次に7-位にtert-ブトキシ基および重水素を有するノルボルナジエンを別途合成し、その二量化反応によるPCTD誘導体合成を試みた。まず7-tert-ブトキシノルボルナジエンからは2,8-位にtert-ブトキシ基を有するPCTD誘導体を13%、HCTD誘導体を11%の収率で得た。また重水素化した7-d-ノルボルナジエンからも2,8-位に重水素を有するPCTD誘導体が63%、HCTD誘導体が5%の収率で得られた。これらの結果によりノルボルナジエン骨格の7-位の炭素がPCTDのそれぞれ2,8-位に対応していることが明かとなり、PCTDは、二分子のノルボルナジエンがendo-endoで二量化した配位子を持つ錯体において、一つのノルボルナジエンの2,3-位の炭素-炭素結合、およびもう一つのノルボルナジエン骨格の1,2-位の炭素-炭素結合が切断されて生成するものと考えられる。 3. PCTDの官能基化:新規篭型ジエンPCTDは、5つの5員環を有するジエンであり、PCTDの二つのオレフィン部分に二つの官能基を導入することが出来れば、新しいモノマーを合成出来る。そこで本研究ではさらに、PCTDの水素化、臭素化、ヒドロホウ素化およびヒドロホルミル化反応を試み、種々の篭型機能性モノマー合成を行った。現在のところ、位置選択的なオキソ反応には成功していないが、これらのモノマーのうち、例えばジオール類はポリエステルまたは、ポリウレタン合成のモノマーとしての利用が期待される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "Nucleophilic and Electrophilic Allylation Reactions. Synthesis, Structure, and Ambiphilic Reactivity of(η^3-Allyl)ruthenium(II)Complexes" Organometallics. 14. 1945-1953 (1995)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "Ruthenium Complex-catalysed Addition of N-Aryl substituted Amides to Alkynes: Novel Synthesis of Enamides" Joumal of the Chemical Society, Chemical Communications. 413-414 (1995)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "Ruthenium complex-catalyzed novel transformation of alkyl formates" Journal of Organometallic Chemistry. 489. 83-91 (1995)
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[Publications] 光藤武明: "不飽和炭化水素金属錯体の反応特性" 均一系触媒反応設計のための戦略〜21世紀を担う化学者へ〜. 47-54 (1995)