1995 Fiscal Year Annual Research Report
活性有機ケイ素イオンによる気相イオン分子反応と合成設計へのアプローチ
Project/Area Number |
07216250
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山本 正夫 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80028159)
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Keywords | Alkylsilaue / EI Mass Spectrometry / Ion-Melecule Reaction / ab ivitio MO Calculation |
Research Abstract |
有機ケイ素化合物の溶液反応では,カルボカチオンの空のp軌道とSi-Cのσ結合間の共役(σ-π共役)により,β位のカルボカチオンがケイ素原子により安定化を受ける.アルカンやシクロアルカンの炭素原子をケイ素原子で置換えたアルキルシランやシラシクロアルカンなどのEIMSには,溶液反応で見つかっている反応と同じあるいは似た分解からのイオンが存在することが分かっている.実験に先立ち,C_2H_4を無限遠からCH_3SiH_2^+イオンに近づけてたときの反応のポテンシャルエネルギー曲面を,計算プログラムGAUSSIAN 94,IBMワークステーション IBM-7006-41Tを用いて詳細に計算した.エチレンをどの方向から近づけても,Si-C結合とβ位の炭素原子の空のp軌道が平行になって共役が出来,C-C結合は短くなって二重結合性を帯びることが分かった.理論計算ではその生成が明らかになったので,イオン分子反応でこのm/z73イオンが生成するかどうかをFTMSによって検討した.FTMSは電通大井上研究室の装置を使用させてもらった.合成したメチルプロピルシランCH_3SiH_2C_3H_7を電子衝撃によりイオン化し,生成したイオンをイオンサイクロトロン室に導入してサキクロトロン共鳴により,CH_3SiH_2^+イオンのみを残してそこにエチレンを導入した.並進エネルギーが1.8eVのCH_3SiH_2^+イオンと3.3Torrのエチレン圧のときm/z73の生成を認めることができた.MS/MSの衝突室での実験では,両者の衝突がせいせい数回程度であったため,このイオンの生成が認められなかったが,十分な時間をかけることで,反応が進行することがわかった.
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[Publications] Takae Takeuchi: "Fragnetation Mechanisms of Butylmethylsilane,Butyldimethylsilane,and Butyltrimethylsilane.l.Experimental Approach" J.Mass Spectrom.Soc.Jpn.43. 53-63 (1995)
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[Publications] 竹内 孝江: "EIマススペクトロメトリーにおける有機ケイ素イオンの単分子分解反応 I" 分析化学. 45 6月号. (1996)