Research Abstract |
高歪み含ケイ素小員環化合物である3,4-ベンゾ-1,1,2,2-テトラエチル-1,2-ジシクラシクロブト-3-エン(1)を合成し、ニッケル錯体触媒存在下、アセチレン類との反応を行った。化合物1を触媒量のテトラキス(トリエチルホスフィン)ニッケル錯体存在下、ビス(トリメチルシリル)アセチレンと脱気封管中150℃、24時間反応させると化合物1とビス(トリメチルシリル)アセチレンが1:1で付加した2種類の生成物、5,6-ベンゾ-1,1,4,4-テトラエチル-2,3-ビス(トリメチルシリル)-1,4-ジシラシクロヘキサ-2,5-ジエン(2)および4,5-ベンゾ-1,1,3,3-テトラエチル-2-ビス(トリメチルシリル)メチレン-1,3-シジラシクロペント-4-エン(3)と2:1で付加したと考えられる2種類の生成物、5,5,6,6,11,11,12,12-オクタエチル-5,6,11,12-テトラシラナフタセン(4)および1,1′-ビ(3,4-ベンゾ-2,2,5,5-テトラエチル-2,5-ジシラシクロペント-3-エニリデン)(5)がそれぞれ10%、21%、41%、9%の収率で得られた。この反応においては、o-キノジシラン-ニッケル錯体が反応中間体として生成しているものと思われる。 またベンゾジシラシクロブテンのケイ素上の置換基をエチル基からイソプロピル基に変えた3,4-ベンゾ-1,1,2,2-テトラ(イソプロピル)-1,2-ジシラシクロブト-3-エン(6)を合成し、アセチレン類との反応をパラジウム錯体触媒存在下で行った。触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム錯体存在下、化合物6をフェニルアセチレンと80℃で反応させるとケイ素-ケイ素結合にフェニルアセチレンの炭素-炭素三重結合が挿入してできる5,6-ベンゾ-1,1,4,4-テトラ(イソプロピル)-2-フェニル-1,4-ジシラシクロヘキサ-2,5-ジエン(7)が、ほぼ定量的に得られた。 アセチレン、1-ヘキシンおよびo-トリルアセチレンなど他のアセチレン類と反応させてもほぼ定量的に同様の六員環生成物が得られた。これらの結果に基づいて、パラダジシラシクロペンテンが反応中間体として関与していることを明らかにした。
|