1995 Fiscal Year Annual Research Report
低速多価イオン衝突におけるオ-ビテイング散乱の検証(後方散乱と多電子捕獲過程)
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07218211
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
奥野 和彦 東京都立大学, 理学部・物理学科, 助教授 (70087005)
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Keywords | 電子捕獲反応 / 多電子捕獲反応 / 低エネルギー / 多価イオン / 電子捕獲断面積 / 後方散乱 / オ-ビティング散乱 |
Research Abstract |
本研究では、C^<4+>-Ne,Ar,Kr,Ar^<q+>(q=6,7,8,9,11)-H_2,He,Neの衝突系において0.075から500eV/amuの低エネルギー領域で一電子および多電子捕獲反応断面積の測定し、下記の方法で多電子捕獲過程ほど後方散乱が重要な役割を演じることを発見し、分極力を考慮したシュミレーション計算で分極力が支配する低エネルギー領域の反応断面積が増大するエネルギー依存性を再現し、低エネルギー領域におけるオ-ビティング散乱効果の重要性を明らかにした。 多価イオンと中性ガスとの衝突で発熱反応で進行する電子捕獲反応について、運動力学的な考察をなした。衝突前の相対衝突エネルギーがEで発熱エネルギーがQの衝突の場合、実験室系で前方に観測される入射イオン(質量ma)から生成されたイオンの重心系おける散乱角の上限値(Θa)と観測可能な角度領域は、Θa=cos^<-1>{-(ma/mb)[E/(E+Q)]^<1/2>}と0≦Θ<Θa、標的(質量mb)からの生成イオンに対して観測可能な重心系における散乱角度の下限値(Θb)と角度領域は、Θb=cos^<-1>{[E/(E+Q)]^<1/2>}、Θb≦Θ<πの関係が得られる。実験室系で前方に散乱された入射イオンからの生成イオン観測による電子捕獲断面積測定では、ma<mbの衝突系に対しては重心系における後方散乱による生成イオン捕集も可能であるが、それが不可能となるma<mbの衝突系に対して、標的からの生成イオンの観測が、とりわけ、オ-ビティング散乱が支配的になると思われるE<Qの低エネルギー領域で後方散乱による電子捕獲断面積成分を調べるのに効果的であることが本研究により実験的に確認された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuhiko Okuno: "Measurements of Charge Transfer Cross Sections for Arq+(q=6,7,8,9 and 11)Collisions with He and H_2 Targets at Low Energies" AIP Conference Proceedings. (in press). (1996)
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[Publications] Scott Kravis: "Single and Double Charge Exchange Cross Sections for Arq+(q=6,7,8,9 and 11)Collisions from 6 eV to 11keV" Physcal Review A. 52. 1206-1212 (1995)
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[Publications] Kazuhiko Okuno: "Cross section Measurements and the Orbiting Effect in Slow Charge Transfer Collisions of Highly Charged Ions" Atomic Collision Research in Japan. 21. 50-51 (1995)