1995 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー照射による金属および半導体の溶融蒸発過程の研究
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07219203
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
大村 悦二 茨城大学, 工学部, 助教授 (90144435)
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Keywords | レーザ加工 / コンピュータシミュレーション / 分子動力学 / 溶融 / 蒸発 / 熱衝撃 / 超微粒子 |
Research Abstract |
穴あけ,切断などのレーザ加工では,プラズマや超微粒子が生成するなど,複雑な溶融・蒸発現象を伴う.これらの現象を明らかにするには,原子オーダーで直接観察できないため,実験以外の微視的解析も必要である.一つの試みとして,昨年度は,結晶のレーザ光吸収モデルを提案し,fcc金属を対象として分子動力学シミュレーションを行った.そして,溶融・蒸発時の原子挙動と応力状態,衝撃波の伝播,蒸発粒子の形態と生成過程などを明らかにした.本年度は,Nd: YAGレーザ4次高調波を照射した際の,Si単結晶の溶融・蒸発過程を分子動力学シミュレーションした.また,自由電子による熱伝導を考慮しながら分子動力学計算を進める改良型分子動力学法を提案し,その妥当性を検討した.得られた結論を要約すると,以下のようになる: I. Siの溶融・蒸発について(1)熱衝撃波速度はレーザのパワー密度によらず一定で,fcc金属の場合と同様,材料の弾性波速度に等しい.(2)穴あけ加工では,フルエンスが比較的小さいときは,穴の深さや除去量はフルエンスにほぼ比例するが,フルエンスが大きくなると比例しなくなる.フルエンスが同じ場合は,エネルギー密度が高い方が除去量は多い.(3)加工穴周囲にはうずたかい盛上りが生じる.これは蒸発原子が堆積したものである.(4)加工痕表面は凹凸が激しく,加工表面近傍に空孔などの格子欠陥が顕著になる. II.改良型分子動力学法について(1)改良型分子動力学法で算出した金属の熱伝導率は,文献値とよく一致する.(2)したがって,本方法は従来型分子動力学法より金属の熱伝導現象をよくシミュレートできる.(3)金属のレーザ加工における除去深さや溶融凝固層深さなどは,改良型分子動力学シミュレーションによって推定する方がよい.(4)熱衝撃現象や蒸発形態については,従来型分子動力学シミュレーションでもほぼ妥当な結果が得られる.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 大村悦二: "レーザ照射による金属の溶融蒸発シミュレーション" 高温学会誌. 20. 228-235 (1994)
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[Publications] Etsuji Ohmura: "Study on Thermal Shock Phenomena due to Laser Imadiation Using Molecular Dynamics" International Journal of the Japan Society for Precision Engineering. 29. 148-149 (1995)
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[Publications] Etsuji Ohmura: "Molecular Dynamics Simulation on fusion and Vaporization of fcc-type Metal due to Laser Irradiation" International Progress in Precision Engineering(Proc of Bth ISPE). 443-446 (1995)
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[Publications] 大村悦二: "レーザ照射によるfcc金属の溶融・蒸発過程の研究-分子動力学シミュレーション-" 精密工学会誌. 61. 1433-1437 (1995)
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[Publications] Etsuji Ohmura: "Study on Fusing-and Evaporating-Process of fcc Metal due to Laser Irradiation Using Molecular Dynamics" Interrationd Journal of the Japan Society for Precision Engineering. 30(発行予定). (1996)