1995 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を利用した時間分割ラウエ法による酵素反応過程追跡実験法とトリガーの開発
Project/Area Number |
07224201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 繁春 東京大学, 薬学部, 助教授 (80156504)
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Keywords | 金属プロテアーゼ / X線結晶構造解析 / 放射光 / ラウエ法 |
Research Abstract |
ラウエ法による精度の高いデータ測定法を確立するためにnative結晶からの回折強度データを(1)大型IPを使い、(2)白色X線の照射ごとに結晶を少しづつ並進させて測定した。その結果、2Å分解能までのデータ(F≧2σ)を52%のcompleteness、R_<merge>=9%で測定することができた。これは大型IPを使うことによってたくさんの反射が記録できたので精度の高い“wavelength normalization curve"が得られたからと考えられる。このデータを使ってScNPの構造の精密化をPROLSQで行なった。その結果、completenessの高い単色X線の場合と遜色のない精密化を行なうことができた。しかし、更に質を向上させ単色X線並みのデータを得るためには(1)harminic overlapの反射についてdeconvolutionを行なう、(2)吸収の影響を大きく受ける長い波長のX線をカットしてバンド幅の狭い白色X線を使う、といったことが考えられる。 フローセル中にサーモリシンの結晶をアガロースゲルで固定し、EDTAを含む溶液を流してみた。目的はサーモリシン中の活性に必須の亜鉛原子がEDTAで抜かれていく様子が見られるかどうかと、データの質を検討するためである。溶液を流しはじめて0、30、45分後にデータを測定した。completenessを上げるために同じ実験をX線に対する方位を変えた3個の結晶を使って行なった。しかし、2個の結晶は回折強度が弱くて処理することができなかった。1個の結晶からのデータでは分解能2Åでcompletenessは30%程度、R_<merge>は22‐28%であった。また、ScNP結晶を使った実験では溶液を流しながら、スピンドル軸が0、24、48°でデータ(image‐1、image‐2、image‐3)を測定した。これらのデータを処理したところ、例えばimage‐1だけだとcompletenessは29%(2.0Å分解能)と低いが、R_<merge>は16%程度であった。しかし、image‐1+image‐2、image‐1+image‐2+image‐3という具合に結晶の方位を変えてとったデータをたし合わせるとR_<merge>は23%、29%とどんどん悪くなっていった。明らかに吸収の影響がでている。
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Research Products
(1 results)