1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07225212
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅野 正隆 大阪大学, 工学部, 教授 (50029071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田川 雅人 大阪大学, 工学部, 助手 (10216806)
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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Keywords | エキソ電子放射 / 電界イオン顕微鏡 / 表面欠陥 / トンネル効果 / タングステン |
Research Abstract |
本研究は申請者らが世界で初めて実験的検証を行った金属からのトンネル効果によるエキソ電子放射(電界刺激エキソ電子放射:FSEE)に電界イオン顕微鏡(FIM)、電界放射顕微鏡(FEM)という実空間で原子オーダーの空間分解能を有する表面測定技術を組み合わせることにより、トンネル効果によるエキソ電子放射のメカニズムを解明し、その応用に新たな知見を得ることを目的としている。FSEEは通常のエキソ電子放射と同様に表面欠陥、吸着分子、不純物の偏析などの要因が複雑に絡み合って起こる複合的な電子放射現象であると考えられることから、これまで省みられていなかった乱れのある表面の電子状態、およびこのような表面からのトンネル効果による電子放射現象に新たな理解を付け加えることができるものと考えられる。 本年度は本重点領域研究のご支援を頂き、研究室現有のFSEE実験装置に冷却CCDカメラを新たに装着し、微弱なFSEE像を増幅し直接デジタル情報としてコンピューターに入力するシステムを組み上げることに成功した。そしてデジタル化したFSEE像の画像解析を行なうことにより、FSEEの放射サイトを原子オーダーで同定することに成功した。また、Arイオンによるスパッタリングを行ったWチップのFSEE、FIMならびにFEMによる試料同一箇所の原子オーダー観察の結果、FSEEの放射は表面欠陥の分布に強く依存していること、原子オーダーで正常な表面からは観察されないこと、などが明らかになった。また、FSEEの放射メカニズムに関する考察からは、Wチップに関してもA1チップと同様に二過程モデルが適用できることが明らかになった。しかしながら、一部の実験データは二過程モデルではFSEEの放射特性を説明しきれないことから、トラップ準位のエネルギー分布を考慮に入れた修正二過程モデルを提案し、特に低純度試料からのFSEE放射特性を説明できることを示した。
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Research Products
(1 results)